決戦編part11
「あっ、アドラス・・・なんで真っ黒な訳?」
「ゲホッ。いや、色々あってな。」
リリィ達と合流したアドラスとフーワール、フェノールの全身は黒く、焦げ臭い。
差し詰め、広範囲魔法で魔物を退けたは良いものの、
距離を測り間違えて巻き添えを食ったのだろう。
フーワールが肩を竦めている所を見ると元凶は彼である。
「あんた七王道よね? 十八番で失敗してたら立つ瀬がなくなるわよ。」
「仰る通りです・・・。」
リリィが追い打ちをかけるように言うとフェノールがフーワールに寄り添う。
「フーワールを・・・虐めないで。」
頬を膨らませる表情は初めて見せる。
目を丸くしたリリィは「ふん!」と顔を背けた。
その近くでガランは両腕をクロスさせて、身体をカタカタと震わせている。
鼻から鼻水を流し、口は「い」の形状をしている。
「そ、そそ、そんなの事、今は良いから・・・温かい場所に行こうぜ。
お、俺はもう・・・げげ、限界だあ。」
流石に可哀そうになって来たのか「分かったわよ。」と言うリリィ。
彼らは移動しながら、フーワールが灯す炎で温まる。
「それで、私達と合流するまでの間どうしてたの?」
「変なガラス玉を木陰で見つけたな。
それから雪だるまに襲われて、今に至る。」
「は? 今雪だるまって言った? 雪だるまってあの雪だるま?」
「ああ、そうだ。 あの雪だるまだ。」
アドラスが言うと、目の前の積雪がモコモコと球を形成する。
幾つも出来上がった球は一つ一つが意志を持つように飛び回り、
二段重ねになっては中から植物のように枝を生やす。
眼はそこらに転がっているような小石だが、研がれたようにクリッと丸い。
「確かこんな感じだ。」と悠長に指を指すアドラスに、リリィは突っ込む。
「こんな感じじゃないでしょう!」
「丁度良いじゃねーか。身体が温まる良い塩梅だ。」
ガランは槍を抜き、先程までの弱弱しさはない。
獣のように見据える眼は狩人だ。
「流石リリィと違って分かってるな。」
リリィは顔をむくれさせて拳を握る。それを余所にアドラスは笑っていた。
「もう一度炎で溶かすかい?」
「又黒焦げになるのだけは勘弁してくれ。」
「大丈夫さ。今度はしっかりやるから。」
フーワールは魔導書を開いて片手を前に出す。
雪だるま達の真下に出現した魔法陣は赤い光を放ち、文字が次々に切り替わる。
「《魔法/第9番―――》」
「お、おい・・・近いぞ。近くないか!?」
たじろぐ後方の面々を無視してフーワールは魔法を発動させる。
「破壊龍の咆哮!」
魔法陣が眩い輝きを放つとアドラス達は飛びのいた。
「うおおおおお!?」
地より放たれる破壊龍の一撃は天をも穿つ。
が、二階層の天は破壊されない。なんたって俺が設計しているのだから!
「ほうほう。」と顎を撫でながらその様子を観察していた俺であるが、一つ気になる。
「もしかして、この世界のシステムは壊れ始めている?」
創造主という規格外の出現はシステムにとってエラー、バグ、ウイルスの類。
神々まで介入して、システムが正常に稼働していないのだ。
七王道の能力に変化が起きているのも恐らくその所為。
本来のフーワールであれば、破壊龍の咆哮を使えない。
「後で見直す? いやいや、最終的に壊すんだし無駄は省こう。」
俺は自問自答して、「うんうん」と頷く。
予想外の力を得ても俺には勝てないのだし、観察を続行した。
そして、フーワール以外の人間達は雪に埋めていた顔を上げる。
雪だるまの姿形は無く、魔法陣が浮き上がっていた場所には土の色が見える。
真っ黒になったフーワールが「ゲフン!」と息を吐く姿も・・・。
「「何が大丈夫だ!」」
アドラスの拳とリリィ蹴りがフーワールの背中に炸裂した。
前に吹っ飛ばされた彼は、雪のない地面に顔面から叩きつけられ、
泣きながら「ごめん。」と謝罪する。
「まあまあ、怒るなよ。お陰で魔物は全滅したんだし・・・。」
「危うく私達も全滅する所だったわよ!」
リリィは唸り、ガランを睨みつける。
フェノールはフーワールを起こして、打撃を受けた背を優しく撫でていた。
背中は小さくなって叱られた子供のよう・・・。
それを見た彼女はため息を吐いて、怒りを鎮める。
これ以上言っては彼女が悪者になるだろう。というか悪女だ。
「・・・私も言い過ぎたわ。 ごめんなさい。」
「じゃあ、行くか。」
ガランの言葉に彼らは黙々と歩き続けた。
先程の魔法が影響しているのか、吹雪が止んでいるのは救いだが、雰囲気は最悪だ。
フーワールは最後尾をとぼとぼと歩き、リリィが時折チラリと見やる。
その様子にアドラスやガランは、『素直じゃないな。』と内心で思うものの口には出さない。
当人同士の問題は当人同士で解決すべき案件だ。
ならば、部外者は黙って傍観を貫くのみ。
そうして、地形変化が開始する―――
彼らの後方地面が突然浮上。地層と地層が擦れ合って、砂埃が激しく舞う。
真上からは欠けた大地が落下して彼らに襲い掛かった。
「あっぶね!?」
危うく頭蓋を割られる所だったガランは槍で岩を両断する。
長年使い続けている所為か斬った断面はザラっとしているが、
卓越した槍使いは、斬る、突くに関してはお手の物。
アドラスと云えば、大剣の側面を盾にし、岩を腕力で押し返している。
肉付きは良いものの細身のガランには出来ない芸当だ。
「フェノールとフーワールは!?」
ガランは視界の端に二人を捉える。
浮上し続ける大地―――地層と地層が擦れる直ぐ近くに彼らは居た。
フーワールが前のめりになって力なく四つん這いになっている。
フードを被っている為に表情は確認できないが、汗が地面に落下していた。
雪が無くても寒いには変わりなく、
動きの少ない魔導士に限って大量に汗を流すなど有り得ない。
「ガラン! 手を貸して!」
フェノールが張り裂けんばかりに声を張り上げる。
いつも無言で無口な彼女が必死に助けを求める光景は彼にとって意外だ。
『自分の事で弱音は吐かない癖に!』
ガランは地を蹴って、フェノールの元へ向かう。
落石が道を阻むが身軽な彼にとって、それ程の障害にもならず、
難なく辿り着いたガランはフーワールの腕を自分の肩に回した。
いざ立ち上がろうと足に力を入れるが―――ガクンと膝が落ちる。
「重っ!?」
いや、フーワールが重いのではなく、ガランから力が奪われたのだ。
ガランとフーワールが接する箇所から無意識に吸い取られた力は、
フーワールの魔力へと還元され、彼の顔色を元に戻すが、
移動出来なければ落石に成すすべなく潰される。
アドラスはそんな様子に違和感を抱いたのか近づこうと試みる。
けれど、落石が彼の行く手を阻み、進めない。
「フェノール・・・そっちもて・・・。」
「うん・・・。」
フェノールが空いている片側に回って持ち上げようと努力するが、
二人がかりでも持ち上げる所か、膝をつく。
「フェノール・・・フーワールは、《吸収》を持っているのか?」
ガランの問いにフェノールは首を振る。
「ううん。無かった・・・筈。」
「やっぱ・・・無自覚なんだな。」
この世界では気づかぬ内に新たなスキルや魔法を習得している事がある。
実際、鑑定石が貴重過ぎて気づくきっかけが、戦闘以外でないだけだ。
ガランは気合を入れなおし、歯を喰いしばった。
「ぬおおおあああ!」
荒い息を上げながら、フーワールの身体持ち上げに成功した一方で、
彼らは危機に直面する。
気付いたきっかけはリリィの声だ。
「二人共上!!」
見上げると先程と比べ物にならない程の岩が眼前に迫っていた。
ガランの槍でも斬れず、
フェノールの魔法でも破壊できないそれは、確実に命を奪いに来ていた。
「フェノール! お前だけでも逃げろ!」
「嫌だ!・・・絶対に・・・嫌だ!」
彼女の片腕には赤子が抱かれている。
けれど、愛している夫を見捨てていけなかった。
魔導書を開いて魔法を連射するが、
彼女の魔力量もここまでくる間にかなり消耗しているのだろう。
威力が低い低魔法しか唱えられなかった。
連射で落下速度低下を画策するもそれは迫る死に対して虚しいだけ・・・。
赤子も守り―――夫も救う。
彼女にとって、二人はどちらも大切で、どちらも欠けてはいけない大切な存在だ。
ガランは「くそ!」と舌打ちして槍を構える。
無理は承知。
無謀も良い所だ。
しかし、三人での脱出が不可能なら、イチかバチかで博打に賭ける。
運が良ければ三人共助かるだろう。でも・・・失敗したら?
ガランの脳裏には死のイメージが浮かぶ。
岩の破壊に失敗し、押しつぶされる自分だった物―――
臓物が辺りに飛び散り、人生が儚く終わる瞬間―――
それでも、彼は助けたかった。
小さい頃から一緒に居た女性を、彼女の幸せな人生は始まったばかりなのだから・・・。
だけど―――彼の決死の覚悟は、起き上がったフーワールの突き飛ばしで中断される。
「え?」
フェノールとガランを突き飛ばしたフーワールはフラフラしながら上を見上げた。
魔導書を開く時間は無い。
高威力の魔法を雪だるまの一掃で使用した所為で魔力量は残っていない。
ならば、遺言を残すしかないだろう。
『皮肉だな・・・折角新しい魔法とスキルを覚えたのに・・・。』
七王道念願のlvアップと習得が叶ったのに、彼の人生は終焉を迎える。
可愛い我が子の成長も見届けられない。
『ああ・・・フェノール。』
フーワールは愛しい妻を見つめる。
フェノールも又彼を見つめて、涙を流し始めた。
『まだ夫らしい事何も出来てないのになあ・・・。』
フーワールはここまでだらしなかった。
外に出る事態が初めてで、彼の性格上そうなってしまうのかもしれないが、
格好良い場面を見せたかった。
それでも―――彼女が生きられるのならそれで良い。
自分が死んだら彼女は泣くだろう。
絶望するだろう。自害を測ろうとするだろう。
けれど、ガランが止めてくれる筈だ。
フーワールは最後に笑みを浮かべて一言発した。
「愛してる・・・。」
尊く、優し気に、割れ物を触るような、包み込むような言葉は
フェノールを突き動かす。
岩の下へ飛び込めと彼女の心は叫んだ。
しかし、ガランは彼女を両腕で静止させる。フーワールがそれを望んでいないからだ。
「ガラン! 離して! お願い! フーワールーーー!!」
ガランは目を瞑り、顔を逸らした。
直後―――巨石がフーワールを叩き潰す。
地面に散った血は近くにいた彼らに付着し、フェノールは力なく崩れ落ちる。
人間が小さなアリを見つけて、好奇心から踏みつぶすように彼は死んだ。
そのショックに悲しむ者は彼女だけでない。
アドラスもリリィも嘆いていた。
特に先程まで酷い言葉を並べてしまったリリィは後悔と懺悔で顔を上げられない。
「フーワール・・・フーワール・・・。」
フェノールは夫の名を呼び続ける。
地形の変化が収まり、落石も止み、彼女は彼を潰した岩に寄りかかった。
大きくて硬い巨石は、押しても引いてもびくともせず、
地面にはまだ乾ききっていない彼の血がべっとりと染みついている。
足元のどろりとぬめる血がフーワールだと思うとフェノールの顔は青ざめた。
それ所か、後方に数歩下がって白くなる。
呼吸が浅くなり、失神した彼女をガランが咄嗟に受け止めた。
無理もない・・・。
「俺は又・・・何も出来なかった。」
ガランは過去を思い出しては、険しい表情を浮かべる。
それは冒険者ギルドの誰もが知っていた。
過去に囚われ、
過去を引きずる彼の生き様に、事情は知らずとも同情する者は居ただろう。
けれど、それは彼の望む所ではない。
後悔を払拭し前を向いて生きていく―――
本人は自身に足りない面を知っている。
補うべき面を模索し、努力し、駆け上がった。
結果として実力者の頭角を現すのだが、彼は満足できていない。
当の目的が達成されなければ、真の意味で達成と言えないのだ。
ガランの報われる日はいつやってくるのか・・・。
運命の神がいない今、彼の運命は謎に包まれていた。
それでも、歯車は回り続ける。
気を失ったフェノールを背に担ぎ、
ガランは巨石の下敷きになったフーワールを見やる。
未だ肉体から鮮血は流れ続けており、触れば水面が揺れそうな池が出来ていた。
そして、歩き出す。
彼らには悠長にしている暇は無いのだ。
滅びの時は刻一刻と迫り、創造主は最上層から楽し気に彼らを眺めている。
「行くぞ。」
「行くって?」
「決まってる。他の連中と合流して、上の階層に登るんだよ。」
リリィは地面に腰を下ろしたまま彼に言う。
「登る?階層を移動したらどうにかなるの? 私達には・・・無理なのよ!」
彼女は地面に拳を叩きつけて、大声を出す。
親しい仲間が死に、絶望的な状況で平静を装っていられるガランが不思議なのだ。
ここは泣く場面。
仲間の死にむせび泣き、怒りと憎しみで感情をドロドロに塗りたくる場面だ。
「無理かもな。でも・・・無駄にはしたくねーよ。」
「それが無駄なのよ!私達がどれだけ必死になってもあいつは笑うだけ!
私はあいつのシナリオに沿って動く駒で居たくない!」
彼女の言葉は世界にいる残り僅かな人間の代弁。
誰もが創造主の思惑通りに動きたくないと思っている。
けれど、自分達が創造主と対話をしなければ・・・。
無駄に終わる可能性は高いが、誰かがやらなければ、彼は変わってくれないだろう。
それでも、彼らの心は満身創痍。
実質、限界でリリィだけでなく、アドラスの表情も冴えない。
大剣を背に納める彼の口は堅く閉ざされ、しゃべる気力もなさそうだった。
「俺もそうだ。だけど、元はあいつを追い詰めた俺達に責がある。」
「神々がやったんでしょ! 私達に関係ないわ!」
正論だ。
こじつけにも聞こえるが、
元は神々の一人である神アデウスが創造主に逆らった事が発端だ。
後の人生で酷い目に会ったからと関わりのない人間を殺して良い筈が無い。
しかし、ガランはそう思わない。
「関係ある。少なくとも俺にはな・・・。」
据わった目にゾッとしたリリィは背筋を凍らせた。
何を経験したら―――何を見てきたらそうなるのだろう?と彼女は思う。
「来たくないなら別に来なくて良い。アドラス・・・変な球を見つけたと言ったな。
それを俺にくれないか?」
ガランはリリィからアドラスに身体を向け直す。
アドラスは首を振って、受け渡しを拒否した。
「いいや、お前一人じゃ合流所かフェノールを守れるかさえ怪しい。
俺はついて行くから魔物は任せな。」
ガランは暫く無言になると「ありがとう。」と呟いた。
そうして、立ち尽くしたまま動かないリリィを差し置いて、歩き出した二人。
付いて行くか否か―――彼女の中で決意が揺らいでいた。
今後、仲間が死ぬような出来事はザラに起こるだろう。
彼女自身それが必ず起こると確信していた。
親しい物の死は辛い。
けれど、独りになれば魔物に囲まれてここで死に、
やっと手に入れた安息領域をはすみす手放す事となる。
『後を追わなければ・・・。』と思う反面、
フーワールと喧嘩していた自分と先程のガランの冷たい視線を思い出し、
身体を震わせる。
彼女には追う資格が無い。
目覚めたフェノールがリリィをどう思うのか?彼女はそれが怖かった。
なにより、仲間の死と同時に周囲の人間は冷たくなっていく。
『特にガランは・・・。』
ガランにとってフーワールは身近な人間で、決して他人ではなかった。
それでも、動けた理由は?
答えはシンプルで明快。心を鬼にするのだ。
戦場でよくある話が同じ自軍の人間が死に、倒れた屍を踏み越えるというもの。
仲間の死を無駄にしない―――それは仲間の無念を晴らす意味合いも兼ねている。
それは常人なら出来ない蛮行だ。
時に仲間の亡骸を盾にし、時に爆弾を括りつけて、敵陣で吹き飛ばす。
魂が無いからと平然と出来る人間はそう居ない。
そして、フーワールの場合、心残りはフェノールだ。
彼女を幸せに、子供の成長していく姿を見たかったに違いない。
だから、彼は彼女を守る。
フーワールの無念を晴らす為に―――
「ああ・・・私は・・・。」
リリィが一人で考えに耽っていると雪ではなく、雨が降り始めて、
雪が溶けてなくなって行く。
その頃には、二人の姿は目の前から無くなっていて、
彼女は独りという孤独の寂しさに襲われた。
「レイダスを一発殴るつもりだったのに・・・私って弱いなあー・・・。」
諦めの独り言に返事をする者はいない。そう、彼女は諦めたのだ。
人生は苦悩の連続で、地獄ばかり・・・。
喜びを味わえてもあっという間に終わってしまう安寧は何処かへ行ってしまった。
「じゃあ、貴方の人生、私に頂戴。」
彼女が振り返ると、そこには同じ顔をした―――
同じ髪をした―――
体形が同じな―――
恰好が同じな自分が立っていた。
笑顔でズイッと顔を寄せてくる彼女の仕草は自分と酷似している。
「え?」と呆けた時には時すでに遅し・・・。
リリィは自分と同じ顔をした相手に両手で頭を鷲掴まれ、首をへし折られた。
「ゴキリ!」という鈍い音と肉の捩れる感覚は、彼女が初めて経験する物。
痛みの余りにリアクションの仕方が分からず、声も出ない。
見下す態度に苛立ちはしないのに、
倒れる自分の身体に足を乗せる仕草には苛立った。
これは、彼女のプライドから来ている感情だ。
薄れる意識の中で、「早く死ねよ。」と発する自分に「うん。」と頷きたくなるのは
彼女の諦めから来ている感情だ。
それでも―――彼女は生存本能で死を拒絶する。
『一度折れたからなんだ?立ち直れば良いじゃないか。』
リリィは「なんで・・・きづけ・・・なかった・・・んだろう。」と微かに声を漏らした。
昔から自分を馬鹿だとは思っていた。
でも、それ以上の馬鹿だとは想定していなかった彼女の思考は明るくなる。
リリィは死に瀕してようやく気が付いたのだ。
「本当・・・は・・・。」
自分へと伸ばした腕が「ボトリ!」と地面に落下して、彼女は死んだ。
残ったもう一人の彼女は頭を掻き毟り独り言をぼやいた。
「早く死ねよとは言ったけど・・・最後まで言ってからでも良かったのに。」
彼女に化ける創造主にとって、死に際の最後は重要だ。
「まあ、死んじまったのは仕方ない。今はあいつらを追うとしよう。」
そう言って、オルドレイはガラン達の後を追う。
これが、リリィと彼が入れ替わった瞬間だった。




