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人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~はじまり~
17/218

男は冒険者ギルドを目指す。ーカイルverー

男は冒険者ギルドを目指す。

一方、男に助けられた青年カイルは、ゲイルとイリヤと共に宿屋にいた。


※カイル視点のお話。

※作者「魚食いてええええええ~」

『中層 宿屋―青薔薇―』

「ふあ~・・・。よく寝た~。 カイルとゲイルを起こしに行かないと~。」


俺たちは、『メイサの森』から王都に戻り、宿を取った。

2階の個室を2つ借りたから少し高かくついた。


『幼馴染といえど、女と一緒に寝られるわけないだろ!?』

イリヤはあまり恥じらいがない。

女性が一般的に恥ずかしいと思うことをあまり恥ずかしがらない。


「今日のパンツは何色ですか?」

と聞いたらどんな女性でも、顔を真っ赤にして『なんて破廉恥な!』ていう場面を

「白だよ!」

と堂々と言えてしまうのだ。

その為、同じ個室で寝るとなると、『俺や他の男がいるのにお構いなく、着替え始めるし・・・。』

俺の方が恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になってしまう。

だから別々の個室を借り、

俺はゲイルと2人、

イリヤは1人で個室に泊まることになった。


イリヤは起床が早い。

メイクや髪のセットは毎日欠かさない事を考えると、女性なんだなと思う俺なのである。


イリヤは、俺とゲイルが泊まっている個室を軽くノックする。


「二人共~!朝だよー! 起きて起きて!!」


俺とゲイルは、

今日も元気はつらつなイリヤの声に、ボーっとする頭をぼりぼりとかきながら扉を開ける。


「もう朝か・・・。」


「うむ・・・。そのようだな・・・。」

俺とゲイルは、朝に弱い。イリヤの活発さが羨ましくなるほどだ。


「すまない。イリヤ 少し待っててくれ。すぐ準備するから。」

俺は、急いで、準備に取り掛かる。


「うん! 分かったよ~! 1階のロビーで待ってるね!」

イリヤは元気よく返事する。

いつも明るくて、活発で、元気なイリヤに俺は毎日、元気づけられている。


俺とゲイルは、準備を終え、個室を後にする。

1階ロビーで待つイリヤと合流し、ロビーの窓際に行く。

そこには、4、5人前の料理が置けるであろう大きな丸形テーブルと5人分の椅子が並べられている。

俺たちは、横一列に椅子に座り、宿屋が用意した朝食を食べる。


「今日は、 ニロケルンのホイール焼きか~! おいしー!」

イリヤは、宿屋の朝食に満足している。一方ゲイルは、黙々と料理を口へ運んでいく。

俺も朝食を口に頬張る。


「うまい! ニロケルンて 調理の仕方でこんなにおいしくできるんだな!」

ニロケルンとは、釣りや漁で取れるこの世界の魚である。

今が旬で油がのっている。


俺たちは、朝食に満足し、宿屋を跡にする。

受付嬢さんが

「またのお越しを!」

とにこやかに俺たちを見送ってくれた。


「ニロケルンの料理おいしかったよー!」

イリヤが受付嬢に大きく手を振る。

受付嬢は、イリヤに『ありがとう』の気持ちを込め、小さく手を振る。


俺たちが行った後、受付嬢は笑みを浮かべたまま、調理場へと足を運ぶ。

そこには、大きな調理器具を巧みに使いこなす巨漢の姿があった。

「料理長! ニロケルンの料理がおいしかったと冒険者の方が言っておられましたよ。」


「お! そりゃ本当か!いやー良かったよ。 新作だったからな。 味見はしたが、自身がなくてな!」

と調理をしながら「ガハハハハッ!!」と笑う。

料理をふるまう側からすれば「美味しい!」と言ってもらうことが最高の喜びだろう。


「同じ冒険者が来たら、俺に言ってくれ、今度は、もっとうまい飯食わしてやらあああ!」

その日の調理場は、暑かったが、料理長はずっと笑みを浮かべていたという。



一方、宿屋を跡にした俺たちは、会話をしながら、『冒険者ギルド』にむかっていた。

「ゲイルは、試験うかったんだよな。」

俺はゲイルに尋ねる。


「ああ。 運が良かったんだ。 俺は『騎士』職だから。盾で、耐えて、耐えて、相手のミスを誘える。 試験官が大振りな攻撃を仕掛けてこなければ、俺も落ちていただろうな。『職得』というやつだ。」

とゲイルは、職で戦闘が有利になったというが、俺は納得していない。


「お前は、そういうけど、イリヤが冒険者ギルドの人から聞いたら『余裕だった』って・・・。」

実技試験の際、不正をしないように『監視役』がつけられるのだが、

俺がイリヤにお願いして、監視役にどんな感じだったか聞いてきてもらったのだ。


「そんなわけがないだろう! 相手は相当な手練れだった。 私もまだまだ精進が足りないんだ。」

とゲイルは試験の事を語る。

ゲイルは、謙遜する傾向がある。

俺よりも強いのに慢心もしない。だから、ゲイルは強くなれるのだろう。


ここでゲイルは、「自分の事なんかより」と話を変える。


「カイルはどうするんだ? もう一度、試験・・・受けるんだろ?」

俺は、その言葉にうつむいてしまう。

俺は自分の『弱さ』を知った。

『多少剣術が使えるからとゲイルとは違い、舞い上がっていたんだ!』

俺は、拳をギュッと握りしめる。

そんな俺がもう一度試験を受けて合格できるのだろうか?


俺の不安に気付いたイリヤが、俺の拳を優しく握る。


「大丈夫! カイルなら受かるよ!」


「イリヤ・・・・。」

その時だった。

ふと横を見ると金髪の男性がキョロキョロと当たりを見渡していた。


「あれ? 誰だろうね? 冒険者かな? でも・・・あんな恰好の人みたことないよ?」

イリヤも不思議そうに彼を見つめる。


「旅人という線もある。 王都に初めてきたのではないか?」

ゲイルの発言に、その考えも濃厚だと思った。


丁度、目が合った。

俺は、目が合ったことで決断を下す。


「話しかけてみよう。」

冒険者か旅人なら、おそらく俺たちと同じく『冒険者ギルド』にむかっている途中かもしれない。

王都に初めてきて、迷っているだけなら、店に行って地図を購入することを勧めてみよう。


俺たちは、金髪の男性に近づいて行く。

そして話しかける。


「あの! 冒険者の方ですか?」


「いや・・・。 俺はこの王都に今日来たばかりの旅人だ。 冒険者ギルドに用があってこれから向かう所だ。」


急に話しかけたせいか、男性は戸惑ったようだったが、素直に答えてくれた。

俺は『冒険者ギルド』に用があるというこの男性に1つ提案を出した。


「そうですか!! 俺たちも冒険者ギルドに向かう途中なんです! 良ければ一緒に行きませんか? 

今日来たばかりの方が『中層』を地図なしで歩くのは迷うでしょう。 それに目的地も同じですから! 俺たちが案内します!」


『これなら地図を買わなくて済むだろうし・・・。』

カイルなりの心遣いだった。

男性は、一瞬悩んだようだが、俺の提案に首を縦に振った。


「右も左も分からず、困っていたんだ。 助かるよ。まずは、自己紹介をしよう。 俺の名は、レイダス・オルドレイ。君たちの名は?」


流暢に話す彼に俺は、少しだけ驚いた。先ほどの戸惑いが嘘のようだった。

「あ! はい。 俺はカイル! カイル・ラ―ギンスと言います。でこっちが・・・」


「イリヤ・フェンディです。 よろしくね!」


「ゲイル・ヴァントレアと言います。道中よろしくお願い致します。」



『レイダス・オルドレイ・・・・さんか。』

『どこかであったことが・・・・・あるような・・??』

『いや・・・きっと気のせいだ。』


互いに自己紹介も終わり、『冒険者ギルド』に俺たちは向かうのだった。

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