表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~冒険者強化訓練編~
116/218

《冒険者強化訓練》part2


《冒険者強化訓練》1日目が始まった。

冒険者達が指導員にどんどん声をかけていく。


「レイダスさん俺とパーティ・・・のわ!?」

「僕と組んでください!」

「いいえ、私とお願いします!」


『わ~。俺、超大人気~・・・。』


冒険者達が、一斉に押し寄せてきて、俺は戸惑っていた。

他の指導員達には、嫉妬なのか舌打ちされる。


『どう断ろうか・・・。』


俺は断る事しか考えていない。というか、凄く断りたい!

ソロに慣れている俺は、パーティ戦が不慣れである。

正直な話、上手く教えられる自信がないのだ。

俺の方が知りたいよ・・・。


「俺を選択してくれたのは素直に嬉しい。でも、指導員は他にもいるだろう?

パーティを組む前に、俺を選択した理由を尋ねてもいいか?」


俺は、取り敢えず1人1人理由を尋ねる事にした。

冒険者達から理由を聞いて見ると、大体こんな感じだ。


1、俺が強いから、魔物討伐がスムーズに進む。

2、魔物について詳しそう。

3、俺の知識や技術を吸収したい。


『こいつら、楽がしたいだけじゃないのか?』


《冒険者強化訓練》の目的は、パーティ連携ミスを最小限に留め、冒険者死亡数を減らす事だ。

俺頼りの戦闘で、成長が見込めるはずない。


只、冒険者達の中には、俺に対して憧れを抱いている者もいるようだ。

後先考えずに、気持ちが先走るのは仕方がないのかもしれない。


俺は、視線を動かし、右から左へと冒険者達を観察していく。

そして、4人の冒険者でピタリと目が止まった。

4人の冒険者は、こちらを気にしているようで、チラチラと視線を向けてくる。

俺は、声をかけてみる事にした。


「おい。そこの4人。」


声をかけられて4人の冒険者は肩をビクリと震わせる。


「は、はい!」


リーダーらしき男が返事をした。


「指導員が決まっていないのか?」


「あの・・・はい。そうです。」


俺は、椅子から立ち上がって冒険者達を掻き分ける。


『逃げの口実を作るとしよう。』


「俺で良ければ、パーティに加わろう。」


「え!?」


4人の冒険者は動揺する。

俺が4人に声をかけた事で後ろでは、冒険者達がぼやいていた。

俺は振り返って、冒険者達に謝罪する。


「すまないが、そういう事だから、他の指導員を当たってくれ。」


冒険者達は残念がりながら散開して行った。


「あ、あの・・・。」


4人の冒険者が俺を見つめている。それに気が付き、振り返った。


「どうした?」


「俺達なんかの為に・・・良かったんですか?」

リーダーらしき男が散開して行った冒険者達に視線を送る。


「どういう意味だ?」

俺は首を傾げた。


「俺たち弱いから・・・。」


リーダーらしき男の発言で、他の3人の冒険者は肩を竦めて、うつむいた。

自分達を下に見ているようで、どこか暗い雰囲気を放っている。


「指導員は冒険者を指導する義務がある。強さは関係ない。

お前達が訓練に参加したのは、強くなりたいからだろう。違うのか?」


俺の発言に4人は無言だった。


「質問を変えよう。お前達は弱いままでいいのか?」


俺の質問に1人の冒険者が口を開く。


「嫌・・・です。」


小さく消えそうな声で、杖を強く握りしめている。

強くなれるならなりたい。弱いままなんて嫌だ!

誰だってそうだ―――――


俺は笑みを浮かべる。

「そうか。やる気があるなら、十分だ。

俺は、討伐対象の魔物について聞いてくる。お前達は、外で待っていろ。」


「あの!・・・。」


リーダーらしき男の声は、俺に届かず、俺はそのまま歩いて行く。

男は、伸ばした腕をゆっくり下ろし、息を吐いた。

彼の肩に手が乗せられ、彼は振り返る。


「フエン。外で待ちましょう。」


赤い髪の冒険者の言葉にフエンと呼ばれた男は頷く。


――――――――――


俺は冒険者ギルドの外に出た。


「何処にいる?」


辺りを見渡すが、4人はいない。

俺とガルムは街を歩く。少しして、視界の端に4人の姿を捉えた。

俺とガルムは咄嗟に建物の影に隠れて、4人の様子を観察する。


杖を持った白髪の冒険者と

魔導書を腰にぶら下げた赤髪のポニーテイルの冒険者がベンチに腰を据えている。

残りの男2人は、立ったままだ。

4人で何やら話しをしている。


「英雄が俺達の指導員だなんて信じられない。」


「僕もだよ。夢みたいだ。」


男2人は、俺が指導員である事に喜んでいる。

そして、若干興奮気味だ。


「私達も他の冒険者達みたいに強くなれるでしょうか?」

白髪の冒険者は杖を強く握りしめた。


「大丈夫よ。ステータスが低いあたし達でもきっと強くなれるわ。」

赤髪の冒険者が白髪の冒険者の杖を握る手に触れる。

優しく、温かい言葉に白髪の冒険者は「うん。」と頷く。


『そういえば、ステータスがlvに見合っていなかったな。』


俺は、4人を鑑定していた。

『FREE』では、ステータスの上がり方は、種族や職で決まっていた。

それがこの世界では、バラバラのようだ。

今まで、鑑定して気付かなかったのは、鑑定してきた相手や魔物が

『FREE』をプレイしていた時と大差が無かったからだ。


4人の場合は、lv30代なのに、ステータス値がlv20代位だ。


『それで、あんなに暗かったのか・・・。』


lvを上げれば、その分だけ強くなる。

それは、lv100という制限が無ければの話し・・・。

例え、lv100になったとしても、彼らの強さは精々lv90で止まるのだ。


この世界でステータスの上りの良さは才能なのだろう。

『俺って異常なんだな~。』と改めて思う。


「おい。そんな所で何してる?」

俺は、話しを聞かなかったフリをする。


「あ、えっと・・・すみません。」

リーダーらしき男が俺に謝罪し、ベンチに座っていた2人は立ち上がった。


「気にするな。場所の指定をしなかった俺が悪い。

早速だが、トーリカの森に向かう。準備は出来ているか?」


「はい・・・。大丈夫です。」

覇気がない声に俺は、ため息を吐く。


「もっと、元気よく返事できないのか?」


「すいません・・・。」

やはり、覇気がない。

俺は、呆れて、頭を抱えた。


「もういい・・・行くぞ。」


それから、トーリカの森まで俺達は無言だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ