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人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~はじまり~
10/218

男は怒る!そして・・・

男は、ボアル・ベアを斬り裂いていく。

――――――楽しい―――――――

男の感情が高揚感に満たされる。

ボアル・ベアを殺す前に我に返った男は、前世を思い出す。

「俺は『あいつ等』と同じことをしている。」

男の肩からガルムは素早くおり、安全地帯で待機する。


「―――鑑定———」


魔物/ボアル・ベア/成体

lv/11


体力/3810

防御/ 700

攻撃/1200

速度/ 800

持久力/1400

魔力/ 200

魔力量/600

魔法適正/E


男は鑑定を使用し、ボアル・ベアのステータスを見る。

体力はガルムよりも上だ。

しかし、今の男は軽くボアル・ベアのステータスを凌駕している。


グルオオオオオオオオ!!!


ゆっくりとボアル・ベアへとちかづていく男。


ボアル・ベアは、男に走って突進していく。


「遅い。」


男はボアル・ベアの突進を前進しながら右へ回避し、

ボアル・ベアの左後ろ足を斬り落とす。


グ!? ルオオオ・・オオオオオ!!


ボアル・ベアは足を一本失い、バランスを崩す。

がすぐに3本の足で態勢を立て直す。


「次はどこを斬り落とされたい?」

男は静かに笑う。


男はある感情に支配されていた。


―――――楽しい――――――


男は楽しんでいた。高揚感が男を満たしていく。

『自分には力がある』

男はボアル・ベアの四肢を切り落とす。

ボアル・ベアに残されたのは頭と胴のみ。

動くことができないボアル・ベア。


グ・・・・ルォ・・オオオオオォ・・・


ボアル・ベアの声は弱弱しく、まるで命乞いのように男には聞こえた。


「今更命乞いか? もう遅い。」

男は屍となった青年に指を指す。


そう、もう遅いのだ。

『ボアル・ベアは青年を殺した。ならば、ボアル・ベアが死ぬのは当然だろう?』

と男は言いたいのだ。


「心臓をゆっくりと刺し貫いてやる。 死ねるお前は幸せ者だ。」

男はボアル・ベアを蹴り上げ、仰向けにさせる。

ボアル・ベアにはもう抵抗する力は残っていない。

男は、剣をボアル・ベアの胸に突き立てる。そして――――――――――――


「死――。――――――――」


「ワオオオオオオ――ン!!!!」


男は、ガルムの遠吠えに我に返った。

『俺は何をしている?』


『俺は青年の仇を『普通に』とるんじゃなかったのか?』


やっていることは間違っていない。ボアル・ベアが死ぬのは決まっている。

しかし、男は『青年の仇』をとるということを忘れていた。

男はボアル・ベアを殺すことをただ単に楽しんでいたのだ。


男は『命をもてあそんでいた』のだ。

「これじゃまるで・・・・・・・・・・・・・。」


男は叫びたい気分に襲われた。


「うおあああああああああ!!!!!」


男の剣がボアル・ベアの心臓を貫いた。

―――ドン!!!!――――というすさまじい音が『メイサの森』に鳴り響く。

男が剣を引き抜くと同時にボアル・ベアは絶命した。


男は、フラフラと立ち上がる。

そして、空を見た。

空を見れば雨雲が漂っていた。


ポツリ、ポツリと滴が落ち、次第に雨に変わる。


男は雨の中、雨雲を見つめていた。

「何やってんだろうなー。俺・・・。」


男は前世を思い出した。

『俺は、ボアル・ベアを殺した。青年の仇を取ることを棚に上げて・・・・。

よく考えてみろ。ボアル・ベアだって生きるためには食料が必要だ。

俺がボアル・ベアに怒る理由がどこにあった?』


そう——— 男はボアル・ベアが青年を食べているのを見て怒った。

それは『男の前世』と青年を重ねたからだ。


――――青年は生きたかったはずだ。―――――


好き好んで死にたいやつはいない。

男も生きられるのなら生きたかった。しかし、男はあの世界(日本)で生きていけなかったのだ。

しかし、男は人生をあきらめた。『死』を選び楽になった。


男は自覚したのだ。

『俺は、ボアル・ベアに―――――――――――――――』


『俺があいつらにされた最悪な行為をしていた。』


男は空を見上げたまま笑う。

『あいつら側にはならないと心に決めていたのにな。

俺から、奪い、いたぶり、死に追いやったアイツらには!!――――――』


そして、男は肩に飛び乗るガルムに感謝をする。


「ありがとう。ガルム。」


「クウゥ———ン アウ!」

ガルムは嬉しそうに尻尾を振る。


ガルムのおかげで男は前世の『あいつ等』と同じことをしていたことに気付くことができた。

男は静かにほほ笑むのだった。


「イリヤ!あっちをみてきてくれないか!!」

「うん!分かった!カイルーーーー!!どこなのーーー!」

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