あきらめていた男
初投稿・初書きです。
素人ですのでご了承ください。(・w・)ノ
温かい目で見てくださると嬉しいです。
いや~書くって難しい!!(・ω・)
『日本』
男の周りには人だかりができていた。
ザワザワ・・・「だ・・・救急・・・あ・と・・・」・・・ザワザワ
「とに・・・・か・・・く・止血・・・・だ!・・・急げ・・・!」
東京のとある歩道で男は命の危機に瀕していた。
男はいつものように工事現場近くの歩道を歩いていた。
しかし、運悪く工事現場にある鉄柱や鉄骨などの資材が落下。
男の腹部には鉄柱が深々と突き刺さった。それだけではなく、鉄骨が何本も男の上にのしかかり体の下半身を丸ごと潰していた。
誰がどう見ても助かるはずがない『命』それを懸命に救おうとする人達。
男は激痛が一周し、逆に何も感じなくなっていた。それどころか頭の中はより鮮明に、よりはっきりと一つの結論へとたどり着く。
『俺は助からない。 俺は死ぬ。』
男は残酷な結論を突き付けられているというのに冷静だった。
それもそのはず、男にとって世界は残酷なものでしかなかったのだ。
男は貧困な家庭に生まれた。
物欲が合っても物は買えない上、小さい頃から両親に厳しく育てられた。
理想像を体現する為に、無理難題を押し付けられ『出来が悪い』とよく罵られた。
それだけで収まれば良かったが、身体が成長するにつれ暴力を振るわれるようになった。
常日頃から長袖長ズボンを着用するのは傷跡を隠す為だったが、学校に行けば、同級生にも暴力を振るわれる。こっぴどく虐められ、ひどい時にはトイレに顔を突っ込まされた挙句、首つりさせられそうになった。それでも復讐や自殺に奔らなかったのは、自分の手で自分を殺せない臆病かつ意気地なしだったからだ。そんな当時の男の様子はあからさまに可笑しかった。
誰とも目を合わせようとせず、誰にも近づこうとしない。
背丈は平均上にも関わらず、わざわざ背を丸めて自分を小さく見せていた。
周囲が怖くて怖くて堪らなかったのだ。
だが、それに気づいて居ながら担任は、解決に動こうとはしなかった。
虐めを黙認し、やり過ごした。
理由は至ってシンプルかつ明快。
只、面倒臭かった。
大人の世界に片足を突っ込めば何かが変わる。と期待してみたものの、仕事のミスを全て擦り付けられた男は職場を転々と回り、同じ顛末を何度も迎える。自分の何が悪いのか?それが理解出来ず、只々地面と向かい合う。そうして、一言「死にたい。」と呟いた。
だから、どちらかというと男にとってこの不幸の事故は救いだった。
『ああ・・・もう生きなくていいんだ。』
男の口から赤い液体が流れ出るのと同時に生気が抜けでているのがわかる。
赤い液体を失うとともに、男の視界は徐々に薄れていく。
その男の耳元で声が囁く。「生きろ!! 生きるんだ!!」だが、男の心には届かない。
『生きろ?・・・生きろだって?・・・こんな世界で?』
男はその言葉に震えた。
自分のことを思ってくれている人がそばにいるという喜び―――ではなく怒りだった。
傍にいる人は自分が死にかけているからそう言っているだけに過ぎないのだ。
救えば賞賛の嵐。恩人として感謝される期待に胸を膨らませているかもしれない。
相手の考えを読める訳でも無いのに、妄想がどんどん拡大して行き、
『ふざけるな!・・・俺に生き地獄を味わえというのか!!』と、言葉にして怒りをぶつけてやりたい衝動に駆られた。けれど、男の口から出てくるのは赤い液体ばかりだった。
ゴホッ! ゴホッ ゲホッ・・・ッ
「お・・・い!・・・き・み・・・・し・・り・・・」
心配そうに声を投げかける人を男は無視した。
『もう・・・いいんだ・・・もう・・・・死にたいんだ。』
男は死に際にふと願った。
『もし・・・死んだ人間が生まれ変われるとしたら、俺のことはほっといてくれ。』
もし、生まれ変わったとしても、また嫌な思いをするだけだ。
それならいっそ生まれ変わらなければいい。男はそう考えたのだ。
男のぼやけていた視界がさらにぼやけ、瞼が閉じる。体が冷たくなり、いつしか冷えも激痛もなくなっていた。
そう――――男は死んだのだ。
『ああ・・・これが死か。』
男は魂だけとなった身であたりを見渡す。続く限り
闇 闇 闇 闇 闇 闇 闇 闇 闇 闇 闇 闇
闇 闇 闇 闇 闇 闇 闇 闇 ――――――――――――――――
真っ暗な空間で男は魂だけの状態で浮かび続けていた。
普通の者なら自分が死んだことに発狂し、狂っているところだろう。
しかし、男は望んで死んだのだ。運が悪かったとはいえ結局男は死を受け入れていただろう。
男が空間でボーーっとしていると一筋の光が差す。
『うお!! まぶし!!』
まぶしすぎて視界を覆いたくなるが、覆うための腕がない。どうにもならない。
男は光の先を目は(ないが)凝らして見る。
その先に人影が見えた。そして人影は語り掛けてくる。
『お主―――死を恐れぬのか??』
男はその質問に、首を傾げた。
『何故? 恐れる必要がある?』
『死とは、
―恐怖であり―
―絶望であり―
なにより抗うものだ。』
人影は語る。
『生きていれば、あったかもしれない可能性を捨てるのだ。私は愚かな行いだと思うぞ?』
可能性はあったかもしれない。生きていれば何かを成せたかもしれない。
しかし、男は諦めていたし、どっちみち助からなかった。
男は語る。
『だからなんだ。』と
男は生きてきた人生の中で良かったことなど一つとしてない。
努力をしても報われない。仕事のミスを全て押し付けられた。男は生きてきてずっと―――
一人だった。
味方なんていなかった。
『お主には、執着心というものがないのだな。』
何への執着心かは言われずともわかる。
男はきっぱりと答えた。
『ああ。ないな。』
先ほどからの受け答えで想像できていたのか。淡々とした口調で告げた。
『だろうな。だが、お主は転生する。』
男は残念な気持ちでいっぱいだった。また、あんな思いをするのかと
そんな男の感情に気付いてか
『ああ。お主の人生は見させてもらったが、あれはひどすぎる。あんなひどい人生をおくる転生はさせんよ。そしてあの世界に転生させる気もない。』
と言った。
男はあからさまにではないが、心の中で安堵していた。
あの地獄の日々を回避できるのだから
『じゃあ。俺はこのあとどうなるんだ?』
『フフフ それはお楽しみだ。』
『あからさまに変なこと企むな』
生まれ変わった後に最悪なことが待ち受けているのだけは嫌だと思いながら男は突っ込むが
人影はクスクスと笑う。
『死は恐れぬのに、生に恐れるとは、面白いやつだなお主は――』
男は変人扱いされているのに若干のいら立ちを覚えた。
『まあ、私が企もうが、お主次第なのだがな――』
生まれ変わった後は結局自身が選択し、突き進んでいくものだと言いたいのだろう。
『うむ? そろそろ転生の時間のようだ。』
『最後に告げよう。私はお主が気に入った!人生を謳歌せよ!そして前世の己を覆して見せよ!私はお主を信じている!』
人影は強い言葉で堂々と男に言う。
そして光が徐々に強くなり男を包み込んでいく。
『言いたいことだけ言って消える気か!』
男が最も信用できない『信じる』という言葉を残して・・・
男は、人影に叫びかけるが、微笑むだけで返答はない。
男は人生が謳歌できるかも前世を覆せるかも分からない。そして不安しかない。
だが、言うしかなかった。チャンスをくれた相手だ。
『ああ!!わかったよ!やればいいんだろ!!覆してやるよ!』
『――――俺は――――変わって見せる!!!!!』
だからそこで見ていろ!!
『―――神様!―――』
―――――男は完全に光に包み込まれ新たな世界へと転生した――――
――――――男の物語は今ここから始まった―――――――――――――――—
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