春を待つ
あやちゃんの
小さな手に
ギュッ
と
にぎりしめられた
僕たち…
フカフカの
ベットに
寝かされる
そこはとても
居心地がよくて
適度な温もりが
僕たちを
眠りの世界へと
誘う(いざなう)
眠れ・眠れ…
いつまでも
眠れ・眠れ…
その時が来るまで
眠れ・眠れ…
…………………………
フカフカな
ベットの
子守唄に誘われて
僕たちは
おちてゆく…
深くて深い
眠りの世界へと―――
目が覚めるまで
夢を見よう
明るく
愉快な
楽しい夢を
森の木々の葉が
色とりどりに
着替えをし
山々の緑を
塗り替えても
大地に降る
冷たい結晶が
目に映るモノすべてを
真っ白に
塗り替えても
僕たちは
眠り続けた
――あともう少し――
ポカポカ陽気が
大地に降り注ぎ
何色をも受け付けない
真っ白な世界が
色を取り戻しはじめる頃
僕たちは
太陽とかくれんぼ
『もういいかい?』
『まあだだよ?』
毎日 毎日
繰り返す
『もういいかい?』
『もういいよ!』
土の中
ひょっこり芽を出す
僕たち 兄弟
『おかあさん!
芽が出たよ!』
うれしそうな
あやちゃんの声に
誘われて
スクスク伸びる
僕たち 兄弟
誰が一番になるか
競争だ!
『がんばれ
がんばれ』
あやちゃんの
声援に
応えるように
『おかあさん!
お花咲いたよ!』
僕たち 兄弟
仲良し 兄弟
みんな揃って
一斉に
色とりどりの
花を咲かせたよ
赤 白 黄 紫
オレンジ ピンク…
花壇を鮮やかに
にぎやかに―――
僕たち 兄弟
仲良し 兄弟
チューリップの球根 兄弟
僕たちは
春の使者
生命の誕生を
愛でる(めでる)季節
春の訪れは
あなたの心にも
優しい花を
咲かせるでしょう……
秋に植えられた球根が、芽を出し花を咲かせるまでの様子を描いてみました。