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勘違いは末恐ろしい

これも以前活動報告にあげたもの。加筆修正なし。

「きゃうっ!」


投げ出されたところは白いふかふかのベッド。上から伸し掛かってくるのは、つい先日爵位を受け継いだ若き侯爵さま。つまりはわたしが仕える旦那さま。

あれ?なんでこんなことになってるの? わたしはただ言われた通り寝酒をお持ちしただけ なのに…。


「あの、侯爵さま?これはいったい…」

「昼間話していた、あの料理人は解雇しよう。」


え?なんで? 困惑が顔に出てたに違いない。侯爵さまは凶悪な笑顔で理由を聞かせてくれた。


「お前と語らい、菓子を分け与え、あまつさえ"大好き"と言わせたな。いくら菓子のことを言ったとしても、到底許せるものではない。…私でさえ言われたことないのに。」


え?え?どこで見てたの?あの時間侯爵さまはお屋敷にいなかったはずなのに。というか、なんでわたしが侯爵さまに好きなんて言わなきゃいけないの?え、もしかして、


「お前は私のものだ。例えお前が嫌がろうとな。」


ええぇぇぇぇぇ!? いつの間にそんなことに……いやいや!そうじゃなくて!


「侯爵さま?えっと、わたしはただのメイドで す。妾になるつもりはありません…。」

「誰が妾になど。お前は私の正式な妻になる。もちろん、唯一のな。」

「それこそ出来ません!身分差が」

「心配するな。手頃な貴族を用意しておいた。そこの養女になれば問題はない。」


おーありですよ!なんですかそのどこぞの乙女小説みたいな!それにわたしは…あ!そっか!


「侯爵さま。やっぱり出来ません。わたしは"猫族"ですから!」


そうだった。侯爵さまは"犬族"。わたしは"猫 族"。異種間の婚姻は認められないんだった。例外はいるけど、身分を捨ててまでは出来ないだろうし。これで一安心っ!


「何を言ってる。お前は立派な"犬族"だろう。確かに白い耳とピンクの肉球は猫族に似ているが、 お前は犬族だ。」

「え?でも、わたしは猫族の孤児院にいましたけど?」

「たまたまだろう。見た目は猫族のようだしな。 だが、この屋敷に入れること事態がお前は"犬族"である何よりの証明だ。猫族は門でさえくぐれないからな。」


ええぇぇぇぇぇ!? 本日二度目の衝撃だぁ!まさかわたしが"犬族"だったなんて……。


「これでもう私たちを遮るものはあるまい?…… さて、美味しく頂くとするか。」


そう言って侯爵さまはニヤリと犬歯を覗かせながらわたしを余すことなく食べたのでした。 うぅ。こんなことなら猫族のお屋敷に勤めるん だった。


オワリ

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