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王子は本当に真っ白なのか。

以前活動報告にあげたもの。加筆修正なし。

「はぁ……」

「なぁに?ため息なんか吐いて。悩みでもある の?」

「いえ、大したことはないんですが、なぜ物語の 主人公は優しい王子さまに惹かれないんでしょうか?」

「あら、本当に大したことなかったわね。聞いて損したわ。さ、お仕事の時間よ。」

「はい……」


うぅ。結構真剣な悩みなのに……。

たかが男爵令嬢の私が、こうやって王妃さまの元でお仕え出来るのはこの先輩侍女さまのおかげだと思うけど、恨みがましい目は向けてしまう。

私の悩み。それは、なぜヒロインが選ぶのは一癖も二癖もあるヒーローなのか。 だって側には優しい王子さまがいるのに。大体は甘やかしてくれるし、泣いてるときは慰めてくれ る。なのに結局はちょっと意地悪だったり、腹黒だったりするヒーローの手を取るのだ。なぜだ。 さっきまで優しい王子さまに安心していたではないか!


私がこんなことを言い出すのにもちゃんと訳がある。それは、


「まだあの子のことを気にしてくれているの?ふふっ、ニイナは優しいわね。ならあの子にこの手紙を渡して、返事をもらってきてくれないかしら。きっと喜ぶわ。」

「はい……」


この国の国母、王妃さまからの光栄なお言葉にも曖昧な答えをしてしまった。私のバカ。

王妃さまの一人息子、つまりは王太子殿下の元に頼まれた手紙を渡しに行けば、殿下は無理矢理作った笑顔で


「やあニイナ。来てくれて嬉しいよ。入って。すぐに返事を渡すから。」


そう言って手紙を読む殿下。そのお顔はとても麗しく、女性であれば誰でも見惚れてしまう美しさなのだ。しかも性格もお優しく、常に民のことを考えられており、今から賢王の呼び声が高いほど。そんな殿下なのに、なのに!


幼なじみでいらっしゃる侯爵令嬢にフラれてし まったのだ!


なぜ!?小さいときから婚約者としてお過ごしになられて、もうすぐ結婚間近だというときにまさかの婚約破棄。理由もびっくり。同じく幼なじみの隣国の王子さまを好きになってしまったからとか!そりゃ、隣国の王子も見目は麗しいけど、 ちょっとワガママで俺様気質がある御方なのに! (乳母であった母情報)結婚するなら優しい方がいいと思うのに! 本来ならそんなこと許されるはずもないけど、そこはお優しい殿下のこと。あっさりと二人を祝福されたのだ!お人好しすぎる~~! でも殿下だって傷ついていないはずがない。その証拠に、ここぞとばかりに縁談を持ち掛けてくる貴族や大臣たちをきっぱりお断りしているそうな。

殿下……こんな一介の男爵令嬢である私にもいつも優しく、時にはお菓子を分けてくださるほど人を思いやれる殿下がなぜこんな目に……。 これが先の悩みに繋がるのだ。


「ふふっ、母上ってば。でもお言葉に甘えてみようかな。……さてニイナ?ぼくを憐れんでるって本当かい?」

「ああああああわれんでるなど!滅相もございません!」

「ふぅ~ん。ニイナはさ、どう思う?フラれてしまったぼくを。ニイナの正直な気持ちが知りたい。」


うっ。そんな真剣な顔して問わないで頂きた い…!!


「……殿下は決して悪くありません。きっと、ご縁がなかっただけで。一日でも早く殿下の憂いが晴れる日を願っております。わ、私だけではなく、臣下一同!」

「ありがとう。……でも、そんな日が来るのか な。」

「!!~~っ来ますとも!来ないはずがありませんっ!そのためなら、私なんだってします!なんだって出来ます!!」

「……なんでも?」

「なんでもっ!!」

「じゃあ……」


ん?あれ?なんで天井が?


「ぼくと結婚してくれる?」


オワリ

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