謎の手紙と暗号
「・・・これは、いったい」
亡き父が遺した手紙を開き、クレアは困惑する。
我が可愛い愛娘クレアへ
この手紙を開けたということは、どこぞの男に求婚されたのか…
その上、僕がクレアの側にいないということなんだね
心細い思いも、辛い思いもたくさんしただろう
一緒にいてあげられなくてごめんね
それでも、父さまとリリアの娘だ
きっととても美しく成長したのだろう
逢いたいなぁ
そろそろ本題に入るね、クレアは短気だから
実は、父さまには、アネンシア公爵家にとって重大な秘密があるんだ
重大すぎて、迂闊には書けないから、暗号にしてみたよ!
国1番の才女のクレアなら、きっと解ける
頑張って!
幼い頃の暖かい思い出
月明かりの優雅なダンス
2人の大事なお気に入り
小さな小さなお気に入り
「…お父さまらしいですね」
はあ〜とため息をつきつつ、暗号マニアだった父を思い出し、自然と笑みがこぼれる。
「リリア!明後日からの期間祭には必ず出席します!ですから、明日は予定を空けておいてください!」
きっと見つけて見せます、お父さま。ですが、暗号はこれだけにしてくださいよ。こっちは仕事がたっぷり残っているんですから。
心の中でそう呟くと、まるでそれに応えるかのように、ビュンっとひときわ強い風が吹いたのだった。