15 秘密
一冊の本を手に持ち、真っ青な顔で戻ってきたクレアに、言い争いをしていた男2人は、顔を見合わせる。
「どうした、クレア。
何かあったのか?」
「すみません。
ちょっとショックなことがあったもので・・・」
「何があったんだい?
話してご覧。
楽になるかもしれないよ?」
引きつった笑みで差し出された手紙を開き、男たちも固まった。
「ハハ、嘘だろ?」
「王家ですら知らない。
こんなことがあったなんて・・・」
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愛するクレアへ
さすが我が愛娘。
卒業まで最短でも5年はかかると言われる大学に、12で入学。
1年で帝王学、経済学、語学、理学などの博士号を手に入れた可愛い娘は伊達じゃない。
え?
本題に戻れって?
実は、レキシミア家には、隠し子がいるんだ。
浮気?
違う違う。
結婚する前のことだからね。
その子は、クレアの1番そばにいる。
一人前の男になっているかな?
君のことを、何より大切にしてくれていることだろう。
そう、ホセのことだ。
レキシミア家の嫡男。
お前は、自分の幸せを考え生きて生きなさい。
ホセ、今まで黙っていて悪かったね。
私はリリアを妻にするつもりだった。
でも、リリアが、公爵夫人なんて嫌だ。
次に生まれて来る子の乳母になりたい。
と言って身を引いてくれたんだ。
男としては情けないけどね。
公爵位を継いでくれるかい?
クレアが悲しい思いをするのは嫌なんだ。
私が悪いけど。
クレア、ホセ、未来を頼む。
フィリップ




