14 図書館
「クレア、久しぶりだね、元気だったかい?」
「ええ、3日前のことを言っているのであれば、おかげさまで」
嫌味たっぷりに答えるクレアをスルーして、にこやかに話す。
「それは良かった。
では、早速これの説明をしてくれるかな?」
送った手紙を見せて尋ねてくる王太子に
「では、お席に座っていただけますか?」
と返す。
「もちろん」
ホセとフレッドが椅子に座っている人のを確認して、クレアは喋り出す。
「実は、探し物があるのです。
少しの間、お2人で待っていて下さい」
そう言い残して、彼女は歩き出す。
目的の本は、
ミーシャ・ラインベルクの代表作、
「風の吹く街」
図書館の司書と、図書館のある地を治める子爵の恋物語だ。
2人の結婚シーンでは、涙が止まらなかった。
3245冊ある本の中で、1番最初に買ってもらった本。
父との思い出がたくさん詰まったこの本だけは、この5年間、読むことができなかった。
全10巻のうち、4巻目を取り出す。
パラパラとページをめくり、挟まれていた手紙を開く。
思わず、本を落としてしまう。
ただただ、信じられない事実を見つけたまま・・・。
明日の更新は、番外編にしてみようと思います!




