本を探して
長い間欲しかった本が届きました
本屋をはしごして、電車をのりついで
探しまわった本でした
ああ、ここにもない
しんみりげんなり帰路についたのは
一度や二度でなく
求めるほど、意地悪く離れてしまう
離れるほど、欲しくなる
先日、やっと見つけて有頂天になって
手元に届く、やっと私の物になると
心歌って、ささいなことがうれしくて
宅配便です、の声に玄関まで走りました
茶色い包みを開けて、本を取り出すと
ほんわりあたたかく、柔らかい感触
ページをめくる
綴られた言葉は「春」
巻頭に作者の穏やかな顔は
「やっと会えましたね」
と、長い旅路を知っているような
眼差しをこちらに向けていました