表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

少し先の未来~閉ざされた扉を開く鍵。それは、同時に開かれた扉を閉ざす。

自身の何気ない一言が、誰かの救いになっていることがあるとすれば?  それは、ある意味では優しいお話の断片であり、そして、ときには無垢な刺として、関わったもの達をーーーーー苦しめます。

少しだけ、先の未来~閉ざされた扉を開く鍵。それは、同時に開かれた扉を閉ざす。



無限想歌ー拡大家族ー三木彼方の場合:誰かを、受け入れるということ。




兄の言葉を、彼方は信じられなかった。

その心は言霊となって、小羽と東の心に突き出される。


「その娘が死んでるってーーー分かってる? ねぇ、としにぃ。それを分かった上で、本気で言ってるの?」




彼方は、言葉を紡ぐ。そこに、怒りの気配などない。そこには、只静かな悲しみだけが、横たわっていた。


そう、彼方は、ただ一つの感情に突き動かされて、言葉を紡いでいたのだ。

だからこそ。




「分かってる。少なくとも俺は、理解してる。それに、由香のやつだって、そのはずだ。俺たちは、全部分かった上で、こいつと「一緒にいる」って決めたんだよ」





だからこそ彼方は、いつものように、のほほんと「屁理屈」をこねる兄を受け入れられなかったのだーーーーいや。

他の誰でもない。



彼女は、「東」が「それ」を口にすることが、何よりも許せなかったのだ。




「その娘、死んでるんだよ? それなのに、おかしいよ! ぜったいおかしいよ! 死んだら、そこでおしまいなんだよ!? なのに、なんで? なんで、じゃあ、その娘はここにいるの? ねぇ! としにぃ、言ったよね! あのとき、言ったよね! 死んじゃったら、そこで終わりだって! なのに! なのに、なんで!!!!」






それは、不可避な衝突であった。

そう、それは、彼方と東が兄妹になった、その日から・・・・・・。


あるいは、東と小羽が出会い、因果を蔑ろにすることを決意したその時から。



きっと、幾千という時が交錯する上で運命づけられた、避けようの無い、兄妹の亀裂ーーーだったのだ。




「・・・・・・なんで、なんで彼方のパパとママは、私をおいて逝っちゃたの?

・・・・・・なんで、パパとママは、私をおいてっ!!!」






いつかの心ない救いは、必ずその未来にて、断罪されるべき罪となります。それを、許せるかどうか。それは、当の本人たちのみが、決められることです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ