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よひょう

おじいさんのありがた~い おはなし。

 むかし、あるところに よひょうという 独り者の男がおっての。

 このよひょう、今年30才になるのに女というものを一人も知らなかったのじゃ。

 知っているのは、一昨年亡くなった母親だけだったそうな。


 30才になった朝、よひょうが目を覚ますと、いきなり


 たらったらったったー♪


 よひょうは まほうつかいに なった

 よひょうは まほうをおぼえた

 よひょうは せんとうりょくが3になった。


と、なんか聞いたことがあるファンファーレとともに不思議な文字がうかんだそうな。

 変だなと思ったが、ゲームのやりすぎかと思って忘れることにしたそうな。


 ところが、まずい朝飯を食いながら、「母さんの朝飯、うまかったなぁ。もう一度食べてみたいなぁ」と思っていると、なんと朝飯が、しろいお米のほかほかご飯になっていたんじゃ。どうやら、願ったものの形に変えられる魔法をおぼえたらしいのじゃ。


 そこで さっそく通りかかった、ノラ猫を女の姿に変わるように念じたところ、猫は女の姿になったが、母親に似た老婆の姿で、しっぽが生えていて、しかも角まで隠れていたそうな。

 どうやら願った者のイメージが現れる魔法だったらしいのじゃ。見たことがないものは想像できないのじゃ。


 その村は、過疎化のせいで老人ばかりで、若い女がいなかったんじゃ。

 それで、よひょうは若い女というものを一度も見たことがなかったそうな。


 それで、どうしたらよいか悩んでいると、ちょんまげをななめにした、いかにも遊び人風の男が声をかけてきたそうな。

「おれは遊び人の金さんてもんだが、良かったら何があったか、話しちゃくれねぇかい。」

「いや、遊び人って、戦闘中に踊ったり、歌ったり、おおげさに滑ったりするやつだろ、そんなやつに・・・。あっ!なんか知っているかも。」

 そこで、よひょうは自分が若い女というものを一度も見たことがないことを話したんだそうな。

「そいつはいけねえな。まあ、おいらにまかせてくんな。」

と、遊び人の金さんは何かを取りに、桜吹雪をちらちらと見せながら、帰っていったそうな。そして、走って戻ってくると。


「ぱららぱっぱら~♪ 青年雑誌!!!!」

「なんですか。これは?」

「まあ、見てくんな。これが ぐらびああいどる というやつだ。」

「ほお・・・」

と、よひょうは真剣なまなざしで見つめて、急に前かがみになったそうな。

「これは なかなかの・・・。」

「だろう、かみさんに見つからねえように隠してたんだ。」


 さっそく、よひょうは通りかかった野良犬に魔法をかけてみたそうな。

 すると、野良犬は、ないすばでぃな お姉さんのすがたに


「で、この水着の下は?」

「そいつぁ、言えねえなぁ。自主規制ってやつだ。」

よく見ると、水着のおしりのところから、しっぽが生えておったそうな。

まあいいかと、よひょうが手をのばすと、ないすばでぃな、しっぽの生えたお姉さんは、よひょうの手ににかみついて、逃げていったそうな。


「ところで、なんでこんなことをしてるんだい。」

「いい歳になって、独り者でいるのは、世間体が悪いって、死んだおふくろが、いつも言ってたもんで・・・。」

「女房がほしいなら、まずは、ほれさせねえと ついてこねぇぜ。」

「でも どうやったらいいのか わかんないんです。」

「まずな一番てっとりばええのは、『つりばしこうか』ってやつかな。」

「なんですか それ?」

「簡単に言うと、危ねえところを助けられると、ほれちまうってやつさ。」 

「危ないところ?」

「おう、絶体絶命のピンチに桜吹雪のお兄さんが助けてくれた。で、お白洲で思わず『金さん♡』って やつさ。」

「お白洲って?」

「おっとそこまでは、言えねえなぁ。」

「魔法は使えるようになったけど、戦闘力は3って、出てたんだですけど……。」

「なあに、おめえの力で助けられるもので、いいんだよ。助けられたら、恩返しするってえのが、むかしばなしのお約束だぜ。まあ、がんばんな。」

というと遊び人の金さんは桜吹雪をちらちらみせながら、青年雑誌を大切そうに持って、去っていったそうな。


「おーい、くれるんじゃないのか?」

と、よひょうが言う前には、姿を消しておったそうな。 



【ごきょうくん】

おじいさんとの約束だよ。

見せるだけ、あげないよ。


ジャンル整理をしました。

表記を変更しています。


オリジナルシリーズから独立させていきます。

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