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ダイエットに成功した女 ~リカの場合~

作者: おかめ

「あと五キロ痩せたら着れるかな。」

リカは段ボール箱から出した、中古屋から届いたばかりの、プラダのスカートを履きながら溜息をついた。


約二年前に出産して十キロ太ってしまい、

毎週ホットヨガに通って十ヶ月で十キロの減量に成功したところだった。

プラダは自分へのご褒美のつもりで購入したのだが、まさかMサイズが入らないとは思わなかった。

あと五か月通えば五キロ痩せるのだろうか。

スマホを手に取り、BMIを計算してみる。


あと五キロ痩せたら「痩せすぎ」になるのか・・・。

四キロならギリギリ「普通」だな。

会社の健康診断で引っかかるのも面倒だし、あと四キロを目標にしよう。


買ったばかりのプラダを箪笥の肥やしにするのは胸が痛むが、

あと四か月の辛抱だ。


さて、お昼休憩も終わりだな。仕事するか。

在宅勤務中のリカは、二階の書斎に戻り、パソコンのスリープを解除した。


・・・はずだった。


「飲むだけで四キロ痩せる!今なら初回千円!」


ダイエット食品の広告が目に飛び込んできた。

普段、詐欺まがいの広告など、歯牙にもかけないリカだが、プラダが着れないショックが尾を引いていた。


「千円かぁ。」


見えない力に押されるようにすんなりと、広告をクリックし、配送先を入力する。

支払いはコンビニ払いにした。

1分とかからずに注文完了したリカだった。


「さて、午後も仕事頑張るゾと。」


ブラウザを閉じ、資料作成を始めるリカだった。


----


一週間後の昼休み、届いたダイエットドリンクを一口飲んでえづくリカがいた。


「オエェェェェ・・・不味い、不味すぎる」


届いたダイエットドリンクは、1瓶100ml、7本入っており、1日1本飲むものだったが、

1本目を1口飲んだところで、喉から込み上げる悪臭と後味に耐えられなかった。

どうしよう・・・たかが千円だし、お蔵入りにするか・・・?

いや、プラダのパンツは十万円もしたのだ。

シーズンを逃すと、ウールの入ったパンツは来年まで履けなくなる。


「よし・・・、わー!!ぁぁぁ」


気合を入れるために叫んだあと、一気に一瓶飲み干した。


「・・・はっ!」


天井が目に入る。スマホのアラームが鳴っている。

どうやら気絶していたらしい。

時計を確認する。

12:55。昼休みが終わる5分前だ。

フラフラと二階の書斎に戻るリカだった。


----


一週間後の昼休み、リカは体重計の上で苦笑していた。


「・・・本当に4キロ減っている」


1週間、気絶するほど不味いダイエットドリンクを、リカは毎日飲み干した。

結果、食欲がなくなり晩御飯は食べれなかった。

ドリンクに含まれる強壮成分のせいか、子育ては何とかこなせていた。

そりゃ痩せるわ・・・。頑張ったわ自分・・・。


「リバウンドに気をつけなきゃね。」


喜びながらも、これからが踏ん張りどころと気合を入れなおすリカだった。

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