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064 面接

 アスカは早速、ギルドに登録してマスターのオバルから軽く面接を受けた。


 オバルはアスカに椅子に座るように促すと幾つか問いかける。

 「冒険者を目指したのはどうしてですか」


 「この世界には魔物がいます。商人を目指しても、教師を目指しても町が襲われた時に戦う術を知りません。なので、町を家族を守りたくて冒険者を目指しました」


 「そうですか。では、魔法使いを目指したのはどうしてですか」


 「私は風魔力の要素が強い事を知っていました。風は汎用的な魔法なので、これを活かしたいと思ったのです」


 「なるほど。貴女はパーティに入るつもりですか」


 「そうですね‥‥パーティはまだ迷惑を掛けそうなのでソロで馴れてからがいいですね」


 と答えるとオバルは少し間を作り、

 「まあ、それも悪くありませんが、早めにパーティに入る事をおすすめします」


 「分かりました」


 「風魔法はどれ程使えますか」


 「ウインドシ-ルドとウインドショットが使えます」


 「ふむ。魔導書にも記されていたと思いますが、攻防以外にも風魔法は使い道があります。何か出来ますか」


 「いいえ‥‥ただ、シ-ルドとショットを強化する事に専念していました」


 「まあ、それは間違ってはいません。でも、風の自由さや可能性を見つけるのも今後の役に立つかもしれませんよ」


 「自由‥‥可能性‥‥」


 「では、面接は以上です。今から正式に冒険者となります。危険なこともありますが楽しんでください」


 



 アスカはオバルの部屋を出ると、ギルドのクエスト掲示板の前に立つ。


 場所はサイハテブルグなので、中級から上級者むけのクエストが多い。


 冒険者として初めてのクエスト‥‥


 失敗したくないなあ‥‥


 でも、中級クエストからは、山菜を採るだけに見えて実はその近くにいる魔物を倒さないと厳しいものばかり‥‥



 


 アスカは思いきってパーティを頼んでみる事にした。


 「あの‥‥クエストをやりたいんですが‥‥」


 アスカが声を掛けたのはBランクパーティのリーダー、オフマンだった。


 「どのクエストだ?」


 「この山菜を集めるクエストなんですが、魔物を倒すのを協力して欲しいんです」


 「断る」


 「何故でしょうか‥‥」


 「俺らにメリットがない。報酬も俺たちにしたら安すぎる。話しにならん」



 それはそうか‥‥


 魔物は倒してください、報酬はこちらが貰います、なんて受ける筈がない‥‥


 我ながら厚かましい要求をしてしまった、と後悔する。


 やはりひとりでクエストをこなすしかないのか‥‥


 いや‥‥


 初級クエストがある町に移るという手は‥‥


 ダメだ‥‥


 お母さんを一人にしてしまう‥‥


 この町で厳しいクエストをやっていくしかない‥‥




 仕方なく中級の山菜クエストを受付に持っていく。


 「すいません。この山菜クエストを受けたいのですが‥‥」


 受付嬢は中身を確認して、アスカのレベルを知ると「申し訳ありませんが、アスカさんはこのクエストは受けられません」と言ってきた。


 理由はこのクエストはDランク以上でレベルも20以上であることが条件だという。


 「そんな‥‥それなら私にこなせるクエストはこの町にはない‥‥」


 母がここまで頑張って私を冒険者にしてくれたのに‥‥


 


 母に恩返しが出来ない‥‥




 アスカはギルドの隅に座り込み、どうしたらいいのか、と頭を抱え込むのであった。





 

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