表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/83

024 覚えててあげたい

 ジャンがアサシンと対峙している間にウィリアムとビスマルクが右と左にジリジリ動く!


 アサシンが素早く短剣を腰に納めると同時にジャンに毒霧を吐く!


 ジャンの視界を奪う間に、ウィリアムとビスマルクに礫を投げる!


 ウィリアムは礫を額に受けて悶絶する!


 ビスマルクは礫を受け流し、攻勢に転じる!


 「トリプルスピア!」


 ビスマルクの三連続突き!


 だが、アサシンはバク転、バク宙、バク転とかわしていく!


 一転、アサシンが前に出る!


 ビスマルクも応戦して槍を捌く!


 短剣と槍の金属音が幾度も響く!


 武器対武器で互角に撃ち合う中、アサシンの前蹴りががら空きのビスマルクの腹を襲う!


 ビスマルクは水月を撃たれ、息が止まる!


 「死ねいっ!」

 アサシンが短剣を突きに来た!


 そこへ、毒霧を振り払ったジャンの盾が間に合い、盾ごと体当たりする!

 「シ-ルドアタック!」


 アサシンもこれには躱せず真面に受けてしまった!


 だが、その時ジャンの視界に入った死体の肩に白い羽を見つけてしまう!

 「デビットさん!‥‥」


 女の子に助けるように言われていた男だ!‥‥


 デビットさんはこの男に殺られちまったのかよ‥‥


 ごめんな‥‥


 約束守れなくて‥‥


 だがなあ‥‥


 オレが仇を討ってやろうじゃねえか!‥‥


 ジャンがアサシンに襲い掛かる!


 「うらあああぁぁぁああ!」


 一撃一撃に思いを乗せる!


 一撃一撃に仇を討つと!


 鬼気迫るジャンの攻撃がアサシンに襲い掛かる!


 「くっ!こやつ!‥‥」

 愚直な攻撃だが、気迫に圧されて反撃出来ない!


 アサシンは咄嗟に後ろへ逃れ、地面の土を掴み、ジャンに投げる!


 土がジャンの目に当たる!


 アサシンがジャンの背後に飛び移り、背中を袈裟斬りにする!


 「があっ!」

 

 さらにアサシンの短剣がジャンの頸動脈を斬る!


 ほとばしる血がウィリアムに掛かる!


 「ジャン!」


 悪夢だ!‥‥


 幼い頃から一緒だった親友が目の前で死ぬなんて!‥‥



 


 「グレートヒール!」


 強烈な光がジャンを包み込む!


 「危ないところだったな」

 バルトがそこにいた!


 「バルトさん!ジャンをありがとう!ありがとう!」

 「ジャンはオレたちが死なせねえ!」

 ウィリアムとビスマルクがジャンを守る!


 「選手交代だ。ここからは、彼女が相手をする」


 アサシンがいきなり死角から殴られた!


 「ぐうっ!誰だ!」

 アサシンが探している死角から、顎に発勁を受けて浮き上がる!


 「おおおお‥‥天翔烈脚!」


 シャオランのハイキック!さらに回転して後ろ回し蹴り!さらに回転してハイキック!と幾度も蹴りを撃ち込みながら舞い上がって行く!


 「トドメだあっ!」

 シャオランが空中でアサシンをオーバーヘッドキックで撃ち放つ!


 地面に叩きつけられたアサシンは二度と立ち上がれなくなってしまった!




 山賊の頭はフランチェスコ団長が討伐、残りのトップも討たれ、山賊は制圧された。


 投降した山賊たちは悉く逮捕されたが、後に吟味されて、更正の見込みがある者は一ヶ月の勾留の後、釈放されることになった。


 三人の戦士はこれでまたフランチェスコに対する見方が変わる。


 拷問好きではあるが、善悪はちゃんと見抜くようであることに、そういう人なのだと結論づけた。


 救出された少女たちも元の家族に返されていく中、アリスだけは家に帰る事を拒否していた。


 ならば預かり所に行こうということになったのだが、ジャンはアリスに助けて欲しいと言われていたデビットを助けられず、申し訳なく思っていた。


 「アリス‥‥ごめんな。助けるはずだったデビットさんは‥‥」

 ジャンはそう言うとデビットの白い羽をアリスに渡した。


 「‥‥ええんや。おっちゃんが後悔してたんも、生きるために仕方なく山賊やってたんも、うちらには優しくしてくれてたんも、うちが覚えてるから‥‥」


 「アリス‥‥」


 「別の山賊が女の子を襲おうとした時も、おっちゃんが守ってくれてん‥‥誘拐した罪滅ぼし言うてたわ‥‥」


 アリスは涙を浮かべていた。

 「おっちゃんはどこか覚悟してたとこがあったんや‥‥なりたくてなった山賊ではないけど、誘拐した事実は消えへん。罰はいつか受けなあかんのや、って。そやから、最後にうちらを逃がして、勝てへん相手に向かっていったんや‥‥」


 ジャンも悔しくて涙を流す。アリスが続ける。

 「世間から見たら山賊が死んだだけや。でも、おっちゃんは善人として天国に行ったんや。その事をうちが覚えててあげたい」


 ジャンは涙を拭いアリスに笑顔を見せる!

 「デビットさんのことはオレも覚えておくよ」


 「それにしてもバルトさんとシャオラン、何で来てくれたんだ?」

 ジャンが聞くと、シャオランがジャンを小突く。


 「あんたが不安そうな芝居すっからだろうが」


 「ふふふ。そういうわけだ」

 バルトとシャオランは、それにしてもジャンが生きてて良かったと笑顔で帰るのであった。





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ