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018 赤ちゃん襲来

 預かり所をスタートさせてから二ヶ月ほど経過した頃、町中でそういう身寄りの無い施設があることが周知されてきていた。


 そんな中、短期間に生後一年にも満たない赤ん坊が三人も預かって欲しいという依頼が相次いだのだ。


 理由は様々だが、子供が出来たと分かると相手の男が怖じ気づいて逃げてしまい、女手一つでは育てきれなくなった者。

 

 両親はいるようだが、赤ん坊を近所に預けて何日も帰ってこない事が何度もあり、近所の人もこれ以上は面倒みられないと、親に納得の上で預かることになった者。

 

 子供を産んでから母親が浮気を繰り返し、父親もそんな母親を憎んでいくうちに赤ん坊も憎くなり、このままでは子供を殺してしまう事を恐れて預かり所を頼ってきた者がいた。


 赤ちゃんは男の子が一人でミゲルという。あとは女の子でエレナとラウラという。


 預かり所の大人たちは、赤ちゃんの親たちの無責任さに怒りを感じながら、赤ちゃんに対しては哀れな感情になる。


 ロイス、ジェニファー、ハナたちは弟や妹が増えたことに純粋に喜んでいる。


 三人の赤ちゃんは専用のベッドで一緒に眠っている。


 ロイスたちは赤ちゃんを起こさないように、顔を覗きこんで、その可愛さにメロメロになっている。


 そのうち赤ちゃんが泣きながら目を覚ます。


 シャオランがあやそうとするが、赤ちゃん相手は難しいのか、何故泣いているのかなかなか分からない様子。


 「ドマ、ジャンたちもあやしてくれよ。あたしだって一人しか看られないよ」

 とさすがにシャオランも手を焼いている。


 「あ、オムツじゃないかな」

 と、ロイスが言うとシャオランが急いで確かめた。


 「ビンゴだ、ロイス」

 シャオランが新しいオムツに取り換えると、赤ちゃんは泣き止んで機嫌が良くなった。


 他の赤ちゃんも同様にオムツが原因と分かり、ひとまず大人たちはほっとする。


 機嫌が良くなると、ハナやジェニファーも赤ちゃんの世話をやりたがるので、シャオランたちは見守る側になる。


 ドマは育児スペースにいる時は、ほとんど獣化した犬になっている。


 犬の姿の方が子供たちやミルクのウケがいいらしく、癒しになっている。


 三人の赤ちゃんも犬のドマを大きなぬいぐるみのように思っているのか、機嫌良く遊んでいる。


 そのうち赤ちゃんの笑い声が育児スペースに響き渡る。


 「赤ちゃんの笑い声って、聞いてるこっちも笑いたくなるよな」

 ウィリアムが言うと、みんなが同調する。


 「こんなに可愛らしいのに、手放すことになるなんて、あたしは信じられないよ」

 とシャオランが言った。


 「お金に余裕がありゃ育てたいだろうよ。世間はそんなに裕福じゃない。自分一人が生きていくだけで精一杯なんだよ」

 と、ビスマルクが言う。


 「赤ん坊もそうだが、ロイスもジェニファーもハナも、元は過酷な環境だった。私は預かり所のみんなを愛していきたいと思っている。育てるのは大変だが、協力して欲しい」

 とバルトが言った。


 「人肌のミルク出来ましたよ~」

 とフェリーナが入ってきた。


 ロイスとジェニファー、ハナが哺乳瓶を受け取り、赤ちゃんに飲ませてみる。


 「ふふふ。お腹が空いてたのね。一生懸命飲んでる」フェリーナが赤ちゃんを見ながら微笑む。


 


 赤ちゃんが起きて機嫌がいい時は平和で、みんなも笑顔になっていたが、一旦泣き始めると誰も馴れていないので一気にストレスが溜まっていく。


 やはり辛いのが夜泣きである。


 シャオランとドマとバルトが育児スペースで寝ながら対処する事になったが、オムツを換えても泣き止まないのでかなり苦戦していた。


 「このままじゃあたしたちも寝らんないね。こんなに赤ちゃんが手強いなんて、世の中の母親は大変だねえ」

 とシャオランは舌を巻く。


 「まあ、記憶は無いですがボクらも赤ん坊の頃はこうやって泣いて育ったんでしょうね。どうしたら赤ん坊の気持ちが分かるんだろう」

 とドマが言う。


 「私も今まで一人で生きてきたが、ドラゴンよりも手強いとは思わなかったな。だが、経験を積めば攻略出来るはずだ。そのうち何故泣くのか分かるようになるだろう」

 とバルトが言った。


 「バルトは前向きだねえ。まあ、そうだな。ドラゴンよりも手強いと思えば納得だよ」

 シャオランたちは漸く赤ちゃんを寝かしつけると再び深い眠りに落ちていくのだった。






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