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013 子猫の名前

 その後、みんながいる時間にフェリーナが子猫を抱いて育児スペースに入ってきた。


 「えっ、ネコ?」

 ジャンが真っ先に反応すると、みんなも一斉に子猫に気づいた。


 「へえ~、可愛いなあ」

 ロイスが早速頭を撫でる。


 「あの~、持ってきてしまったんですけど、子猫‥‥ここで飼ってもいいですか?」

 フェリーナは恐る恐る切り出したが、みんなは

 「大丈夫だろ」


 「問題ないですわ」


 など、賛成派しかいなかった。


 「名前は何にしたんだい?」

 ビスマルクが聞いた。


 「まだ決まってないの。それで、みんなで決めようと思って」

 とフェリーナはそう言って子猫を床に下ろした。


 子猫は思い思いに歩き回る。


 「フェリーナはどんな名前がいいんだ」

 とシャオランが尋ねると、

 「う~ん、ミルクかなあ」

 と言う。


 「わたしはシロちゃんがいいかなあ」

 と、ハナが言う。


 「ネコの定番はタマじゃないのか」

 とバルトが言う。


 「みんなありきたりね。マ-ガレットがいいですわ」

 とジェニファーが言った。


 「ちょっと待て、この子はオスかよ、メスかよ」

 シャオランがそう言って確認するとオスであった。


 「マ-ガレットは却下だな」

 ウィリアムに言われてジェニファーは不満そうだった。


 他にも候補が出たが、ミルク、シロ、タマに絞られたので、呼び掛けて反応した名前にしようと決まった。


 「シロちゃん、シロちゃん」

 ハナが最初に言ってみるが、子猫は無反応に歩き回る。


 「ミルクちゃん」

 とフェリーナが呼ぶと、

 「みゃ~」

 と反応した。

 

 これでミルクに決まったのだが、一応バルトが「タマ」と呼んだが無反応だった。


 フェリーナが子猫を持ち上げる。

 「今日からあなたはミルクちゃんよ」

 

 そうと決まると、バルトはシュミットの元に行き、育児スペースにミルクのための場所を造れないか相談した。


 「今度は子猫かあ。ネコの事は流石に考えてなかったが‥‥分かった!やってみよう!」

 と動いてくれた。


 

 シュミットは弟子を引き連れて早速預かり所にやって来た。

 

 ミルクのためのリフォームはその日のうちに終わった。


 まず、部屋の角にあるタワーだ。


 一番下にボックスがあり、子猫が寝る事が出来る他、周りにポールが立てられ、色んな高さの台が備え付けてある。


 その一番上には小さなネコ用のベッドがあり、ミルクはピョンピョン上に上がってベッドの感触に満足している様子。


 また、壁にはネコ用の階段とある程度の高さに飛び移るための板を設置した。


 タワーの横にはネコ用のトイレもある。


 また、子供たちが間違ってぶつかったことも考慮して、角を丸く造り、さらに素材は不明だが柔らかいものでカバーもしている。


 「シュミットさん、ありがとう。ミルクは勿論、みんなも満足している」

 バルトは礼をした。


 「ああ。まだ子猫だから低めにしといたが、成長したら追加で高くすることも出来るからまた呼んでくれ」

 シュミットはそう言うと豪快に笑って帰って行った。


 

 ミルクは人懐こいようで、色んな子供や大人に甘えにいくが、本当に好きなのはフェリーナらしく、よくキッチンに入ろうとして、その度に追い出されている。

 「ごめんねえ。でも、キッチンは危ないから分かってね~」

 と、フェリーナも申し訳なさそうにしていた。


 フェリーナが育児スペースに来たときはミルクが他の人と遊んでいてもフェリーナの元へ走る。


 ハナもジェニファーもロイスも始めこそ羨ましがっていたが、フェリーナには勝てないと割りきって、一緒に遊ぶことにした。


 



 

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