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012 フェリーナと子猫

 ロイスが預かり所に入って、さらに10日ほどした。


 買い物をしていたフェリーナは帰る途中で強めの雨に降られてしまう。


 「ヤバいヤバい、どこかで雨宿りしないと‥‥」

 

 お店の軒先を借りたりしてみたが、雨が強いのであまり意味がない。


 少し弱まれ~と願っているとホントに少し勢いが弱まったので、その隙にもう少しマシな場所を探すために移動を試みる。


 すると、雨でずぶ濡れになってとぼとぼ歩いている子猫を見かけた。


 「ちょっと、ちょっと、ネコちゃん‥‥こんなに濡れちゃって可哀想に‥‥」


 フェリーナは持っていた小さなタオルにくるむと、そのまま雨に濡れないように自分の服の中に入れながら走り始めた。


 また、雨が強く降り始める。


 フェリーナは少し先に寺院のような大きな屋根の建物を見つけると、一直線にそこへ向かった。


 フェリーナは建物の外だが雨の降らない場所にたどり着くと漸く腰を下ろして、子猫を改めてタオルで拭いた。


 子猫は少し衰弱しているのか、弱々しい目をしている。

 フェリーナは買い物かごの中からミルクを取り出して、受け皿がなかったので自分の手にミルクを溜めて子猫に飲ませてみる。


 子猫は始めこそ力無い感じで飲んでいたが、飲み尽くすと、足りなかったのか、もっとちょうだいと言いたげな鳴き声をする。


 「はいはい、おかわりね。雨で冷えてるのに冷たいミルクでごめんねえ‥‥」


 名前つけてあげたいなあ‥‥


 汚れてるけど、洗えば多分真っ白な子猫‥‥


 あ、でも、預かり所で飼ってもいいのかな‥‥


 みんなこの子を愛してくれるかな‥‥


 フェリーナはいつの間にか子猫を愛しく思うようになっていた。


 「あ、やっと止んできた」

 フェリーナは再び子猫をタオルにくるむと服の中に入れて帰る事にした。


 



 「ただいまあ」

 フェリーナが預かり所に戻ると、ハナとジェニファーとロイスが、おかえりと言って振り返るとフェリーナが雨で濡れていたので驚いている。


 「まあ‥‥雨の中を買い物してきましたの?風邪をひきますわよ」

 ジェニファーが言うと、ロイスも

 「早くお風呂に入ったほうがいいよ」

 と促した。

 

 するとハナが

 「フェリーナちゃん、ハナもお風呂入りたい」

 と言うので

 「じゃ、一緒に入ろっか」

 とハナを連れていった。


 先に服を脱いだハナが浴場に入る。


 続いてフェリーナが入るが、ハナが抱かれている子猫に気づいた。

 「え、子猫‥‥ちゃん?」

 

 「うん‥‥雨に濡れてたから拾ったんだ‥‥一緒にいいかにゃ?」

 フェリーナは途中、子猫の通訳のように言った。


 「うふふ。どうぞ」


 ハナは洗面器にお湯を入れて、水を足してぬるめにした。


 「子猫ちゃん熱くないかな?」

 

 フェリーナは洗面器のぬるま湯に子猫をそっと入れる。


 初めは嫌がるかと思っていたが、意外にすんなり浸かってくれた。


 フェリーナは洗面器にソ-プ材を入れて子猫を優しく洗い始めた。


 子猫は気持ち良さそうにしているようだ。


 フェリーナは洗いながらハナに話しかける。

 「ハナちゃん、この子にお名前つけたいんだけど、どんなのがいいかなあ」

 

 「お名前まだ無いの?」


 「うん。さっき出会ったばかりだからね」


 「わたしもすぐに思いつかないよ。後でみんなと決めたいな」


 「そうだね。分かった」

 フェリーナは泡だらけの子猫に優しくぬるま湯をかけて濯ぐ。


 子猫は全身の水分を飛ばすようにぶるぶるする。


 汚れていた身体は真っ白になっている。


 子猫は洗面器に前足をチョンチョンとするジェスチャーをした。


 フェリーナが何だろうと思っていると、ハナが

 「また、ぬるま湯に入りたいのかな」

 と言う。


 フェリーナがぬるま湯を洗面器に入れると子猫は自らその中へ浸かっていく。


 「子猫ちゃん、お風呂好きなのね。うふふ」

 ハナが、可愛いと子猫の様子を見て言った。


 子猫は満足そうに目を細めるのであった。





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