プロローグ
※注意
わかる人は一発で分かると思いますが、本作品の世界観や登場キャラクターは元ネタがあります。ただ、本作品はあくまでも一次創作であり二次創作ではありません。その点ご理解いただける方だけお読みください。なお、元ネタを知らなくても物語の理解には問題ありません。
人間の本質は善なのか?それとも悪なのか?
それは性善説・性悪説という形で遥か昔から議論されてきた事柄だ。
そしてその議論には未だに答えが出ていない。
それだけ人間の本質を捉えること、そして善悪の定義は難しいということなのだろう。
けれどもし、俺がその問いかけをされたのならこう断言しよう。
人間の本質は悪である、と。
そもそも善性とは自らの悪性を覆い隠すための言い訳に過ぎない。どんな聖人であろうと例外は無い。人々が善行を成すのは「自分は邪悪ではない」ということを高らかに宣言するためであり、わざわざそんなことをしなければ立ち行かなくなる善性など、それはすなわち偽物である。
善性とはあくまでも人々がそうありるべきだと思っているだけの幻想。夢のように実体の無いもの。あるいは表面だけのメッキである。
それが、俺の結論だ。
その結論は生涯変わる事は無い。例え『善性』と呼ばれるそれそのものを目の当たりにしたとしても考えは変わらない。だって、実際にそれを見たことのある俺自身がそう言うのだから間違いはない。
……そう。俺はそれを見た。そこに、存在するはずのない善性を見た。
それによって俺の人生は何一つ好転せず、悪性に塗れた現実は変わらずそこにあるけれど、それでもあの声は……あの声だけは今も耳に響いている。
これから俺が語るのは、そんななんの意味も無い物語。
それは存在しなかった、幻の六日間――。