会社で、なろう系を馬鹿にしているおっさんがざまぁされたと思ったら、何だか風向きが悪くなって、俺、なろうで投稿していることをカミングアウト出来なかった話。
新入社員が、昼休憩で、ラノベを読んでいた。カバー無しだから、すぐに分かる。
10分休憩でも読んでいたな。
声を掛けるのは、無粋だ。
しかし、声を掛けるおっさんがいた。
坂田さんだ。確か調達関係の部署にいるおっさんだ。
「何だ。なろう系が好きなのか?・・・なろう系って、ク~~~プクスクスクスㇷ゚プププ~」
「違います。なろう系ではありません。ラノベ作家さんの本です」
「似たようなものだろう。他の人から見たら、分からないだろう?
場をわきまえろって話、カバーを掛けたりしろよ。なろう系と思われたら、頭の悪い奴だと思われるぞ」
「そうかもです。もう、読んでいていいですか?」
周りは
「「まあ、まあ」」
とおっさんを止める人がいたが、
年配の女性社員、総務課の佐藤さんが、割って入って来た。
そのおっさんの同期のようだ。
「ねえ・・・坂田さん。そういうことは、『人間の敵は人間だぜ!』とか周りに、言い出さなければ自由じゃない?」
「・・・・・・ウゥ」
坂田さんは去って行った。
「「「えっ」」」
「フフフフ、坂田さんは昔、中二病だったの」
「えっ、社会人でですか?」
「そうよ。沢山じゃないけど、結構いたわね。中二病だなんて言葉を聞かない時代だったけどね」
☆☆☆回想1990年代
『僕は、坂田太郎です。〇〇〇〇〇〇〇〇が大好きです。この言葉にピンときたら、話をしましょう』
とね。彼ね。初めての自己紹介の時に好きなアニメの名前を言ったのよ。
そしてね。
『はい!はい!はい!』
とね。新入社員や1年、2年先輩の子でね。応じた人がいたの。
課長クラスの役職の方がね。
『ゴホン!私語はやめたまえ!』
とね。注意をしたの。
お茶、もらうわね。
「はい・・」
ズズズーーー
そしてね。私、同期だから、坂田君に話しかけたの。
『ねえ、〇〇〇〇〇〇〇〇ってどんな話なの?』
『それは・・・人間の敵は人間だ・・と言うことだ』
『・・・・分からないわ』
そして、時々、
『おお、この建築途中の場所は、第何話の〇〇がたずねるシーンに似ている』
『わかる~』
『もしや、使徒が襲来されるでござるか?』
と仲間内で話していたの。
私は仲に入れなかったわ。
当時ね。人気がすごかったのよ。
毎年、変な新入社員が1人はいたの。大きな会社だから、どこかの部署にはいると報告されたわ。数年続いたわ」
「最近の子は、中々、わきまえて来る子が多いと思うわ。
アニメに影響を受ける子って、そうはいない。
少ししかいないわね」
「佐藤さん。総務部ですよね。少しってことは、今でもいるんですか?」
「影響って、ほどではないけど・・毎年、総務部で手作り交通安全ポスター作るでしょう?」
☆5,6年前
「何だ!交通安全ポスターを作れって、言ったけど、この猫の女の子が、猫〇スに引かれているポスターは?それで、危ないよ!って何だよ。不穏だ。何かとアウトだ!」
「これ、獣フレンドの名シーンですよ」
「作り直してもらおう・・」
って。ことがあったのよ。それぐらいだわ。
俺は、疑問に思った。
「何故、坂田さんは、昔、中二病だったのに、なろう系を敵視するのでしょう?」
「それは」
「「同族嫌悪」」
うわ。風向きが悪くなった。俺もなろうに投稿している・・
「私は、否定しないけど、何かあれね。趣味仲間で投降している知り合いがいるけど、ランキングが高い人のは、興味ないわね」
「僕は、アニメになった悪役令嬢ものは好きですよ。結末はどうなるか分からないけど、不幸になる人がいない。なろう系であって、なろう系でないと思いますよ」
「それ、知っている」
「「私たちは、魔滅の刀」」
キーンコーン
「あら、始業のチャイムだわ。何かあったら、また、教えてね」
「「「有難うございました」」」
・・・
☆後日、
なろう系作家を目指している同級生宅を訪れた。
相談をしたいとのこと。
彼は、学校を卒業しても、就職せずに、四年間で目が出なければ、就職すると宣言している。
「山田、会社もの恋愛ざまぁを書きたい。会社の事を教えてくれ~」
「ええ、具体的にどんなこと?」
「社長は日中、どこにいるものだ!」
・・・うわ。何かズレている。
そして、彼の求めるままに、アドバイスをしたが、どうも、腑に落ちない。
「いいか。山名、例えば、現実恋愛で、女上司に恋愛ざまぁした会社をテーマにしているものあるだろう。高得点なものがあるよな」
「これか?」
「この作者、本当に、会社のこと知っていると思うか?会社って金儲け集団だぜ。これは、良くて、大学のサークル、高校の部活だ。会社は、部署は持ちつ持たれつつだ。こんな態度、やる主人公の方が悪役だと思うぞ。
こんなことあり得ない・・会社を知らない学生か、それか、分かっていて創作していると思うぞ」
「そんな・・・」
「俺だって、剣で戦ったり、弓矢射ったことはないけど、弓矢や剣の戦闘シーンを描写しているぞ」
あれ、俺は、何で書いているのだろう。
確か、銃の怖さを、表現できればなと思って、投稿していたんだ。
異世界で、銃で戦う。
異世界は日本だ。
男主人公にすると、何か自慢になるから、女主人公にしているんだ。
俺はへたれだった。
他者様みたいに、振り切れていない。
「・・・山名、俺が、まだ、まだだぜ」
「就職した方が、視野が広がるでござるか?」
「いいや、人次第だ。四年と決めたなら、四年頑張った方がいいぞ。中途で良ければ、まだ、紹介できるギリギリだ。但し、四年と区切った方がいい・・」
「分かった!」
「お邪魔しました」
キィ
と山名の母ちゃんに睨まれた。
まあ、飽きるまで投稿すればいいか。
最後までお読み頂き有難うございました。