聲
夢の中に来た あなたの声が思い出せない
記憶のあなたと 違った気がした
記憶にある声さえも 思い出の波に揉まれて
いつか消えてしまうのだろうか
止まったままの時計が
動き出すことはない
どんなに願ったところで
私はあなたから離れていく
このまま 何も 動かさないで
このまま どこにも 行かないで
ここから 進まなくて済むなら
忘れずにいられるだろうか
もう一度だけと願うのは
夢のあなたが笑っていたから
忘れたくないのに
忘れてしまいそうで
酷く怯えている私は
あなたを忘れることなどできないのに
声が思い出せなくなる
あの時から 私だけ進んでしまう
この想いを なんと呼ぶのか
手を伸ばしても 見つからない
今日もまた 私だけ刻が進む
あなたから 遠ざかっていく
私だけ