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ポッキー・ゲームの公式ルールを確認しておこう。
1,途中でポッキーを折らない
2,途中で口を離さない
3,相手から目をそらさない
4,キスをしたら負け
あれ。キスしたら負けなのか。まてよ。その場合、どっちの負け?
そして僕は気づいた。このゲーム、負けるのは超簡単。
早々に負けることでキスという事故が起こる前に、ゲームを終えられるのだ。
「水沢くん、準備はいいかな?」
千沙がポッキーを差し出し、僕に言う。
「いいよ」
それぞれポッキーの片端をくわえる。ゲームが始まる前から、これは近い。ポッキーって、こんなに短かったっけ。
ゲーム開始。
さっそく目をそらすことで、千沙に負けよう。
ところがポッキーをくわえることで顔の位置を固定しているので、目をそらすのが難しい。しかも千沙が、やたらとこっちの視線を追いかけてくる。
千沙め。まさか、キスに至るまでゲームを継続するのが狙いか。
だからその場合、どっちの負けなんだろう。たぶん双方の負けであり、勝ちなのだろう。禅問答。
つづいてポッキーを折ることで、負けることにした。しかし折れない。千沙がポッキーにかかる圧力を調整することによって、ポッキーをしなやかにしているのだ。器用だね。
このままでは事故が起こる。
で、気づいた。単にポッキーを口から離せばいいことに。
「僕の負けのようだ」
ポッキーを口から離したところて、千沙も離した。
ここから不可解な展開。
千沙が顔を近づけてきて、なんやかやで口と口がぶつかる。なんか舌がからまりかけた。
このまま絡まらせるのは、問題だぞ。問題──問題──唾液交換は。
阻止。
「うわっ」
緊急だったので、何も考えずに僕は後方に勢いよく身を引いた。そのため後ろに転んでしまったが、とにかく事故を未然に防いだ。
まぁ未然は言いすぎかな、なんか微妙に絡まったし。
一方、千沙は恥ずかしそうに笑いかけてきて、
「水沢くん。ポッキー・ゲームを利用して、私とキスするなんて。さすがだね」
「え、まった。いま何が起きたの? どういう物理現象が生じたら、ああなった?」
「慣性の法則で」
そうか、慣性の法則なら仕方ないか。
あれ。頭がバカになっている?
「さ、王様ゲーム3回戦目だよ」
今回も千沙が王様になった。
しかし千沙は迷っている様子。さては王様ゲームの罰ゲームのネタ切れか。
意外と、千沙はこの手のゲームをやり慣れてなさそうだからね。
「ちょっとまって。ネット検索してみる」
「デコピンとかでいいんじゃないのかな、千沙」
「そんな面白みのないものじゃなくて──あ、これ面白そうだよ。ベロチューだってさ」
ベロチュー? ピカ〇ュウの親戚?
「そんな単語は聞いたことがない」
「そうだね。ググってみる」
ググったベロチュー動画を、千沙と見てみる。
あー、これは命が危ない事故が起きるやつだ。ポッキー・ゲームからのキスが、可愛く思えるレベルの。
「千沙。この罰ゲームはもちろん変えるんだろうね?」
千沙もベロチューの正体を知らなかったことは、耳まで真っ赤にしているので明らかだ。
しかし千沙の視線が何やら危ない揺らぎかた。
「水沢くん、王様の命令は絶対だから。やるよ。ベ、ベ、ベロ、チューを」
この人、まともに言えないものをやろうとしているんだけど。
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