表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/117

80


 一難去ってまた一難。


 お次は千沙だった。


 僕が部屋に入ると、千沙はそわそわしていたが、ハッとしてソファに座り悠然と構える。少なくとも悠然と構えたかったらしい。


「水沢くん。里穂の誘惑には負けなかったようだね。やっぱり本命は私だったわけだ」


 千沙は浴衣姿だった。素足にスリッパを引っかけている。


「本命も何もないけどね」


 あと誘惑にかなり負けそうだったけども。まさか小夜に助けられるとは。いや、そもそもの元凶は小夜なんだけどね、さらにいえば陽菜さん。


「千沙。先に言っておくけど、勝手に脱ぎ出したりしないように」


「勝手に脱ぎ出すなんて、そんな痴女みたいなことするわけないよね?」


 里穂、間接的に痴女呼ばわりされているよ。


 ふと気づく。千沙の右手が後ろに隠れていることに。何か凶器を隠し持っているらしい。


 僕の視線に気づいたらしく、千沙は謎めいた笑みを浮かべながら、右手を前に出してきた。


「これが気になっているみたいだね、水沢くん」


「まさか、それは──」


 千沙は割箸を二本握っていた。


「なにそれ」


「見てわからないかな。温泉旅行の定番といえばこれ、王様ゲーム」


 え、王様ゲームって定番だったの。

 いや、そんなことよりも。


「二人でやる王様ゲームとか、聞いたことないんだけど」


「一対一の攻防が楽しめるよね。さっそくやるよ。水沢くんに拒否権はないからね。王様の割箸は、先端が赤く塗ってあるから」


 ふむ。いきなり脱がれるよりは、対応しやすいかな。

 案外、里穂より千沙のほうが難易度は低めかも。なんの難易度だか、自分で言っていてもよく分からないけど。


 割箸を選んで──選ぶも何も二本しかないけど──千沙の手から抜いた。

 赤い印がある。王様は僕か。


「さ、命令して王様」


「二人しかいないから、もう相手に命令することになるよね」


 注意するべきは、命令の内容。テンション低め低めの内容でいこう。というのも、この手の遊びはどんどん過熱していくものだから。


「じゃぁ、3回回ってワンと言って」


 低レベルな罰ゲームでお茶をにごす作戦だ。

 決まった、と思ったけど。


 なぜか千沙が頬を赤らめて、恥ずかしそうに言う。


「私のことを、ワンちゃんのように服従させたいんだね。水沢くん、実はSだった?」


 思春期の想像力、恐るべし。


 千沙は辱められたようにして、3回回ってワンと言った。


「こ、これで満足?」


「……はい」


 デコピンにすれば良かった。しかし悔いても仕方ない。この経験を次に生かそう。


 ところが次に王様となったのは千沙だった。


 まぁ、3回回ってワンを言うだけで、恥ずかしそうにしていた千沙だ。

 過激な内容ではあるまい。


 千沙は嬉しそうにテーブルに身を乗り出して、ポッキーの箱を取った。


「じゃ命令するよ。水沢くん、定番中の定番、ポッキー・ゲームを私とすること」


 え、ポッキー・ゲーム?

 噂には聞いたことがあるけどお目にかかったことはない、アレ?


 二人がポッキーの両端をくわえて同時に食べ進むという、あのゲーム?


 千沙の恥ずかしいラインが、よく分からないんだけど。



気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ