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動物園に到着。
ちなみに僕が小夜に提案した計画は、シンプルにしてシンプル。
「英樹が別れ話を切り出そうとしたら、僕か里穂が止めるから」
その場しのぎだが、この案が通った。
動物園前で英樹を発見。
僕は里穂に小声で言った。
「とりあえず、英樹に警告してくる」
小夜の相手を里穂に任せ、小走りで英樹のもとに向かった。
「よお、高尾。なんでお前ら、小夜と来てんだ?」
「英樹。今日は別れ話はしないでもらいたい。なぜかって? 僕と里穂の身が危険だからだ。危険が危ないだ」
「おい待てよ、じゃあオレはどうしろっていうんだ? いつ別れ話をしろっていうんだ?」
僕は一考し、完璧な回答を得た。
「一生を添い遂げればいいんじゃないかな?」
「いいわけあるか! とにかく、オレは振るからな。絶対に振る」
その時は2人から離れていよう。
4人になったところで、園内に入る。
英樹の予想に反して、家族連れは少なかった。よくよく考えれば、家族で遊びに来るのは日曜日じゃないか?
それもあって園内はガラガラ。動物たちも退屈している感じ。
「見て、見て高尾。キリンよ、キリン」
里穂のテンションが上がる。
子供だな、里穂は。
高校生にもなってキリンで何をテンション高く──
でもちょっと上がるな。
「キリンを後ろにして、2人で自撮りしましょうよ」
「いいよ」
パシャリ。
その後、象、ライオン、カンガルーと巡っていく。
毎回、里穂と自撮りしていたら、英樹が言ってきた。
「高尾。なに渋井とカップルみてぇなことしてるんだ。デートのつもりか」
「ダブルデートじゃなかったっけ?」
「ダブルデートという名の、オレが小夜を振る作戦だろ?」
「作戦は失敗だ」
「早ぇよ諦めるのが!」
その後、ソフトクリームを食べることになった。
小夜の様子を見ていると、意外なことに可愛らしい。
英樹の恋人として、お淑やかに振舞っている。
ヤンデレに目をつむれば、いいカノジョじゃないか。
目をつむるのは難しいかもしれないけど。
「ねぇ高尾。最初はどうなるかと思ったけど、楽しいわね」
「うん。動物園なんかと甘く見ていたけど、童心に帰れる」
チラリと英樹のほうを見てから、僕は小声で言った。
「里穂、英樹と小夜をまこう」
里穂が顔を赤らめる。
それから小声で、
「え、あたしと2人きりになりたいということ?」
「というより、英樹が刺されるところは見たくない。親友だから。よって潔く見捨てる」
「どんな動機でも賛成よ。さっきから邪魔だと思っていたのよ、あの2人」
「邪魔というのは失礼じゃないか? 片方は僕の親友だぞ」
「けど見捨てるのよね?」
「見捨てる」
「で、計画は?」
「トイレに行くと言って、こっそり消えよう」
「まって。そんな単純な計画でバレないの?」
「小夜さんは英樹しか気にしてないから大丈夫だろ」
「松本くんのほうは?」
「バレないと断言できる。英樹はそんなに頭良くないから」
「……本当に親友よね?」
全員がソフトクリームを食べ終わったころ、里穂が言った。
「お手洗いに行ってくるわね」
里穂が小走りで、離脱。
「あ、僕もトイレ行ってくる」
とたん英樹が僕の肩をつかんだ。
「おい、オレを見捨てるんじゃねぇだろうな?」
意外と鋭い。
「英樹。僕たちは親友だろ? 見捨てたりしないさ」
「高尾──信じてるぜ!」
チョロかったな。
僕もトイレがあるほうへ小走りで向かう。
英樹と小夜から見えない地点に来たら、待っていた里穂と合流。
「計画成功。で、どこ行く?」
「向こうで乗馬体験ができるみたいよ」
「じゃそれで」
しかし、何かを忘れている気がする。




