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 里穂との待ち合わせ場所に到着。

 5分前行動を心掛けたが、すでに里穂は来ていた。昨日の真紀さんといい、女性陣は10分前行動が基本なのか?


 里穂は、真紀さんには負けるが美少女だ。

 白い肌に、黒髪はショート、胸は小さめ。


 里穂の私服姿は何回か見たことがある。去年の今頃は、まだ里穂と出かけることもあった。

 いま思うと、あれはデートだったのか?

 いや、一緒に映画行ったり水族館行ったからといって、イコールでデートではないはず。


 僕が考え込んでいると、里穂が気軽に肩を叩いてきた。


「久しぶりね、高尾」


 久しぶり──確かに久しぶりだ。


「里穂さ、僕のこと無視していたよね、この1年間」


 とたん里穂がよく分からない顔をした。恥ずかしさか、後悔か、または──。

 意外と真紀さんより表情を読みにくいな。


「もうせっかくさ、そういうわだかまりを忘れようとしたんじゃない。そこは空気を読んでよね」


「そうか──それは悪かった。いや、ここ僕が謝罪するところか? シカト被害に遭っていたのは、こっちだぞ」


「じゃあさ高尾は、その──」


 里穂は頬を赤くして、モジモジしだした。


「あたしと話せなくなって、寂しかった?」


 寂しかったかと問われれば、そうだなぁ。


 はじめの三日は寂しかった。

 そのあとは一人でソシャゲするのも悪くない、というか楽しいぞと気づいてしまった。


「寂しかったよ」


『はじめの三日は』の部分は省略。直観的に、それが正解な気がした。


 里穂は何だか嬉しそうだ。


「そ、そっか。寂しかったのね、高尾は」


 やはり正解だったか。

 思うに真紀さんとの交流によって、僕のコミュ力は向上したのではないか。 

 交流といっても、昨日出かけただけなのに。さすが最上位美少女の影響力。


 などと考えていたら、真紀さんが歩いてきた。


「おはよ、高尾くん、里穂」


「真紀さん、おはよ。実はいま真紀さんのことを考え──なんでいるの!?」


 里穂はいまだ真紀さんに気づかず、ごにょごにょ言っている。


「実はね、あたしも、高尾と話せなくて、さ、さび、さび、寂しか──」


「里穂、大丈夫? 具合でも悪いの?」


「あ、うん、心配しないで真紀──え、真紀? どうしているのよ!?」


 真紀さんが僕の手を握った。


「なぜなら、私たちカップルだから。聞いてなかったの、里穂は?」


 反射的に手を握り返してから、ふと思う。

 真紀さん、傍迷惑なんだが。


 里穂は腹パンくらったような顔をした。


「そんな……嘘……でしょ?」


 僕は真紀さんの耳元で囁く。


「何しにきたんだよ、真紀さん?」


 真紀さんも囁き返してきた。


「これも、高尾くんのためだよ。高尾くんに二股疑惑がかかったら、もう取り返しがつかないから。それを阻止するため、私は非常手段に出たの。別に、里穂とのデートを嫉妬したからじゃないからね」


「二股? なんのことだ?」


「とにかく、千沙に攻撃材料を与えないことが大切なの。分かった?」


 里穂が僕と真紀さんの間に割って入った。


「いつまで手を握り合って、イチャイチャしているのよ!」


「……いや、イチャイチャしているわけでは」


 さっきまで里穂の機嫌は良かったのに。真紀さん登場で台無しだ。

 しかし、考えてみるとおかしい。


「里穂。どうして真紀さんが来た途端、不機嫌になっているんだ? まさか里穂、君は──」


 里穂がドキッとした顔をする。


「な、何よ? あたしの何が分かったというのよ?」


「真紀さんのことが嫌いなのか!」


 なぜか里穂は脱力した。


「……もう、そういうことにしておいていいわ」


 真紀さんが呆れた様子で言う。


「高尾くん。やっぱり鈍感系を極めているみたいだし、里穂の告白の件も冤罪じゃないんじゃない?」


 冤罪に決まっているが、そんなことより真紀さんだ。

 里穂が真紀さんを嫌っている以上、3人での行動はプラスにならない。


「じゃ、真紀さん。偶然会ったようだから、もう別れを──」


「私、パスタが食べたいな、高尾くん」


 ……付いて来る気満々か。






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