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 そこからは逆転劇のはじまり。


 というほど劇的なものでもなかったけど、いい感じに連続してポイントを取った。


 里穂がぽんぽんと背中を叩いてくる。


「高尾、いまのスマッシュ良かったわ! 一体どうしたの? いきなり卓球のスキルが覚醒したとか?」


「なんか、コツをつかんできた」


「やればできる子と思っていたわ!」


 卓球台の向こうでは、千沙が難しい表情で。


「やるね、水沢くん──」


 しばらくラリーの応酬。

 僕の番、というところで、


「なら、これはどうかな水沢くん!」


 千沙が、なぜか真紀さんの背後にまわる。何をするかと思えば。背中から真紀さんの胸を揉みしだき出した。容赦なき揉みかたで。


「きゃぁっ!」


 と悲鳴をあげる真紀さん。

 見惚れたせいで空振りする僕。


「あ」


 1ポイント取られる。

 その上、里穂にわりと本気で叩かれる。


「なにしてるの! あんなあからさまな精神攻撃に動揺してどうするの! 高尾、やる気あるの?」


「やる気の問題かな、あれは。男子として、致し方ない」


「ふーん。それなら」


 里穂が無駄に近づいてきて、僕の耳元で囁き出す。


「これに勝ったら、あたしの胸をさわらせてあげるわよ」


「うーん。それは、どうも」


「えぇっ! そこはテンション爆上がりで、能力値もグーンと上がるところでしょう!」


 別に、里穂がへんなご褒美を提案してこなくても、勝つ気は満々なわけだ。


 勝負は続く。今回もラリーの応酬。またしても動く千沙──しかし。

 先んじて、真紀さんの肘鉄が発動。千沙の腹部にめりこんだ。


「いい加減にして千沙」


「うっ……地味にすごく、痛い」


 真紀さんと千沙が仲間割れでペースを乱したので、こちらは一気に畳みかける。

 で、最終的にこちらが2セットを取った。

 大勝利。


「真紀がおっぱい揉ませないから」


 と千沙が、非難がましく真紀さんをにらんでいる。

 その横で、僕は小夜から商品の小箱をゲット。


「やったわね高尾!」

「いぇーい」


 とりあえず、里穂とハイタッチ。


 さっそく千沙たちのいないところに移動して、里穂と確認した。小箱の中身はUSB。しかもご丁寧に、『弱みリスト:贈りもの用』というシールまで貼られている。


「どうしよう。これは本当に、本物だぞ。正直、ただのキットカットとかだと思ってた。小夜が、こんなものを用意していたなんて」


 どれだけ、引っ掻き回したい性格なんだ、あのヤンデレは。

 隣では里穂が固唾をのんでから、


「パンドラの箱なのね。とうっ!」


「あっ」


 USBを奪い取って、ダッシュで走っていった。


「これは、あたしが1人で活用させてもらうわね!」


 おー、なかなかの脚力だ。


「………………いや、まてっ!」


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