表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/27

27

といった全く同じ攻防が十回ほど繰り返された後、ドラゴンが地響きとともに地に倒れこんで動かなくなった。


「ふう、やったわ」


「それはよかったけど……。なんでドラゴンは、こっちに突っこんでくるなり逃げるなりしないで、同じことを繰り返したんだろう?」


「それはドラゴンって、頭がとっても悪いんですよ」


「そうなのか」


「そうです。なにかやると、ずっと同じことを繰り返すという習性があるんです。頭が悪いから」


「そうか。とにかく助かった。ありがとう」


「いえいえ、元はといえばこんなことになったのは、私が道を消し忘れたからです。ごめんなさい」


ミミの目は少しうるんでいた。


もう可愛すぎる。


俺は思わず抱きしめそうになったが、その前にミミが歩き出した。


「とにかく道を探しませんと」


やがて道は見つかり、俺たちはアパートへ帰った。


ミミが道を消して今回はそれで終わり。



その後一ヶ月ほど特に何事もなく過ぎたが、ある日アパートに帰り玄関を開けると、そこに五、六歳くらいの見知らぬ幼女がいた。


その頭に黒くてつばの広い円錐形の帽子を被っている女の子が。


「あっ、来てはだめです!」


奥でミミが叫んだが、遅かった。


空間が歪み、そしてどこかに飛ばされたのがわかった。


そこは真っ暗な闇だった。


なにも見えない。


「おい、ミミ。また道を消し忘れたのか」


「そうなんです。ごめんなさい」


「で、さっきの女の子は誰なんだ?」


「それは説明すると長い話で……」


俺は大きく息を吸い込むと、叫んだ。


「ここはいったいどこなんだあ!」



       終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ∀・)これは今までのツヨシ様の作品にないジャンルといいますか、なんといいますか。そこに驚いたりしたんですけど、不思議と全然違和感がないこと。ツヨシ様のわかりやすい表現法が相まってアニメ的・…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ