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するとその円形の窓のようなものが、すうっと消えた。
「これでいいわ」
「なんだったんだ、今の?」
「道ですよ」
「前に言っていたあれか」
「そうです。まさとが学校に言っている間に、道を作ってこちらに来ていたんです」
「なんのために?」
「お父さんとお母さんに会うためですよ。私の両親はまだこっちの世界にいますから。で、作った道を消し忘れていたんです。道は消し忘れると、いろんなところに勝手につながっちゃうんです。それで私たちがここにとばされたって訳なんです。だからその道を今消したんです」
「ふーん。……で、道を消したら、どうやって帰るんだ?」
「あっ」
「あっ、じゃねえよ!」
ミミがやってきてから三ヶ月が経った。その間、二人の間に特に変化はない。いい雰囲気になんて皆目ならないし、俺はあのときおっぱいを触ってから、一度もミミに触れてはいない。でもミミの笑顔は癒しだし、家の中はいつも綺麗に整理整頓され、おまけに食事は美味く、食費はかからない。
――うーん、これでよしとするか。
今のところは.
とりあえず今のところは。
大事なことなので二度言いました。




