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「気絶しているだけですよ。私は人間は殺しません」
「そうなんだ」
「そうですよ。なのにあいつらは、私を殺そうとするんです。ひどいですよね」
「そうだな」
そのまま草原の先にある森まで飛んで行き、そこで降りた。
俺は早速聞いた。
「なにがあった。ここはどこだ。どうしてこんな所にいるんだ?」
「ちょっと待ってください」
ミミはそう言うとほうきを消し、ニンジンを前方に突き出した。
そしてなにやらぶつぶつと呟きはじめた。
声は小さいし、口調は早いし、その前にもともと俺の知っている言語ではなかったのでなにを言っているのかはさっぱりわからない。
そのまま黙って見ていると、やがてミミが「えいっ」とニンジンを振り下ろした。
すると目の前に円形の窓のような穴が出来た。
その先に見えるのは俺の部屋だ。
「えいっ」
ミミは再びニンジンを振り下ろした。




