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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第一章 ゴブリンキング
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異世界と元居た世界の違い

「――あの…これお釣りです。」


洗い立てにもかかわらず相変わらずボサボサの長い髪の女の子が硬貨を手渡そうとする。


1週間以上お風呂に入らず、宿もなかった彼女に少し多めにお金を渡してお風呂に行かせたのだが、どうやら律義にお釣りを返そうとしているらしい。


冒険者ギルドを出発し、街を見て回って小一時間。


なにやらずっともじもじしていると思ったが、どうやらお釣りを渡すタイミングを見計らっていたようだ。


「それはセラにあげたものだから返さなくていいよ」


「でも、ヒロさんは冒険者になったばかりだし…」


長い前髪で目が見えないが、おそらくセラは困った顔をしているのだろう。


ヒロはセラがお風呂から戻ってきた後、お互いに自己紹介を済ませ街を案内してもらうことにした。


今朝しっかり街を見て回ったが、やはり現地の人間が一緒にいるとわかってくる内容が全く違う。


まず始めに街がきれい過ぎる事が気になっていたのだが、これがすぐに解決した。


この世界に来るときにオッサン(神様)から元の世界の中世位の世界だと聞かされていて、今いるこの場所は中世のヨーロッパに近い街並みをしている。


中世のヨーロッパといえば、おまるに排便し、糞が溜まったら窓から投げ捨てるという話だ。


その糞を踏まないようにヒールが生まれ、糞が掛からないように日傘が生まれ、自分にかからないように男たちは「危険だから車道を歩くよ」と女性を盾にしてきたはず。


それがここ、王都サザラテラは街に糞を撒いたものは最悪打ち首、よくても利き腕を失うらしい。


王様本当にありがとう!


そして、飲み水が綺麗。


どうやら浄化魔法を使って、ある程度の水であれば綺麗にすることができるらしい。


電気はないが、魔法の宿った石が街灯になっている。


火薬はあるらしいが、銃や大砲はまだない。


塩が安いのは魔法のおかげ。理屈は知らないらしい。


胡椒が塩並みに安い。どうやらエルフが一括して育てているそうだ。


ポーションがない。ガラス製品は高級品らしく入れ物がないうえに回復魔法があるから要らないらしい。


他にもいろいろ教えてもらい、かなり充実した時間を過ごすことができた。



――――――



18時、この世界で3度目の食事を冒険者ギルド内にある酒場でとることにした。


もちろんセラも一緒だ。


セラが注文したのはパンと水だけだ。


食事代はヒロが出すので気を使っているのだろうか。


「これ美味しいから食べてみてよ」


蒸かしたジャガイモにたっぷりのチーズがかけられている。おそらく嫌いという人はいないだろうと思い、ヒロはサラの前に皿をやった。


「い、いいんですか?」


サラの声が震える。


長い前髪と猫背のせいで見えないが、おそらく涙目になっているだろう。


「いいよ遠慮しないで。おかげで今後の方針が決まったから」


そう、今後の方針が決まった。


忘れていたかもしれないが、俺がこの世界に転生したのは人外娘に会うためである。


そして、この世界に目的の種族が存在する。


スライム娘だ!


話によれば、この世界ではスライムはかなり強い分類に種類分けされ、上位の冒険者でしか足を踏み入れないような場所にいるらしい。


その姿は半透明の女性の姿をしていて、打撃系の技を無効化する体を持っているらしい。


最終目標はスライム娘と親密になることだ。


ちなみにサザラテラのまわりはゴブリン、狼しかいないらしい。


ゴブリンというと弱そうに聞こえるが、先輩転生者の50%がゴブリンに殺されている。


それを考えると、パーティをしっかり組めるまで王都から出るのはありえないだろう。


つまり、スライム娘に会うための第一歩は、まずパーティを組んで王都から出ることだ。


仲間を増やすのと同時進行でやらなければいけない事もある。


まずは購入したいアイテムがある。


そのアイテムは『妖精の粉』。


妖精の粉は妖精が特定の魔法を行使するために必要なアイテムで、人間がそれを飲むと微量だが魔力が増大するらしい。


俺が魔法を使うために一番最初に手に入れないといけないアイテムだ。


ちなみに値段は50シルバー。


今の所持金で買えなくもないが、買った瞬間に装備が買えなくなり、詰んでしまう。


次にセラを仲間にして、育てること。


セラがパーティに加わることは実は食事の前に決まっていた。


そして、セラにしてもらうことは毎日魔力が尽きるまで魔法を使ってもらう。


この世界では魔法は使えば使うほど熟練度が増え、魔力は使えば使うほど増えていく。


例えば、セラのファイアボールは魔力1で発動する。


これを一日500回使えば500回分ファイアボールが上達する。


ようは死にゲーを毎日やれば上達するし、正拳突きも毎日1万回やればいずれ音を置き去りにする。


そんな当たり前のことがこの世界でもあるということだ。


ちなみに、魔法は消費魔力分の魔法効果を出せるようになると、魔力を多めに消費して本来よりも高威力で発動させることができるようになる。


つまり、魔力1で拳大の火球が出せるようになった後、さらに使い続ければ魔力2で少し大きめの火球が出せるようになる。


魔力2で熟練度がたまったら魔力3とレベルアップさせることができるのだ。


しかも、仮に魔力消費10のファイアボールが使えるようになっても、魔力3で使うなど、セーブして使うことも可能になる。


次に魔力の増加だが、これは単純に筋肉と同じで、使えば使うほど多くなる。


筋肉に負荷をかければ筋繊維が切れ、回復時に太くなるように、魔力も使い切れば回復時に少し増える。


これは全部オッサン(神様)の本に書いてあったのだが、自分で気付く必要がなかった分やはり貰って正解だった。


「それじゃ今日はこのあと魔力を使い切ってもらって、明日も集合前には半分終わらせてきてね」


「――は、はい。でも、本当にこれで上手くなるんですか?」


「大丈夫!騙されたと思って試してみて」


「――ひ、ヒロさんは明日はどうするんですか?」


モンスター討伐ができない駆け出し冒険者の自分たちに不安を抱えるセラの質問にヒロは笑顔でこう答えた。


「俺は明日から最高の料理をするよ」






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