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異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第一章 ゴブリンキング
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新米冒険者(30歳)はお呼びじゃなかった

「パーティの参加希望者、またはパーティへのお誘いはまだ無いみたいです。」


冒険者ギルドのお姉さんの申し訳なさそうな笑顔とともに発せられたその言葉に俺は心が苦しくなった。


そりゃそうだ、駆け出し冒険者+30歳の男と誰が命を賭けて冒険したいというのだろうか…


先に説明しておこう。


転生したこの異世界には例にもれず冒険者という職業が存在する。


冒険者は冒険者ギルドに登録することで、各地からのクエストを受けることができ、モンスターを倒したり、旅の護衛をすることで収入を得ることができる。


もちろん、ただ外に出てモンスターを倒し戦利品を街で捌くだけでもいいのだが、クエストの方が収入がいい。


そこで俺は昨日のうちに登録を済ませ、冒険者ギルド内にある掲示板にパーティ募集を載せてもらった。


載せてもらったのだが…これである


時刻は昼を過ぎている。


冒険者ギルドは建物の約7割が酒場のようになっていて、昨日の夜の酒場に来た連中。そして、今朝のクエスト受注に来たやつらはみんな俺の募集は見たはずだ。


見たはずなのだが…


椅子に座りため息をつく。


ちなみに冒険者は職業:冒険者だ。


盗賊、戦士、神官みたいなRPGの世界での職業みたいなものはクラスと呼ばれている。


でも少し面白いのが、この世界では盗賊でも魔法を使えるし、暗黒騎士でも癒しの奇跡を使うことができる。


なら何の為のクラスかというと、パーティ募集や冒険者同士での役割分担の際わかりやすいように自分の最も得意とするものをクラスに設定しているようだ。


そして俺はというと、駆け出しなのでパーティに合わせてクラスを選びますとした。


そりゃそうだ。


だって、好きなもの押し通してパーティ組めると思っていなかったからだ。


装備やスキルを覚えるのにも金がかかる。


あと、恐らく需要が強いであろうヒーラーは最後までやりたくなかったので誘われて切羽詰まったらやるということにした。


したのだが・・・


またため息が出る。


考えがあまいよなぁ。


仕方がない、現状を整理しよう。


昨日は結局、登録した後に街を回ることができなかった。


というのも、17時前には露店はほとんど閉まっていて、武器防具屋なども閉店準備を始めていた。


その代わり朝7時には店が開いているので、今日の午前中は街を回ることができた。


そこでわかったことがいくつかある。


まず通貨についてだ。


この世界は共通通貨でゴールド、シルバー、カパーの硬貨が使われている。


1ゴールドが100シルバー、1シルバーが100カパー、まぁよくあるネトゲと同じシステムだ。


そして、神様からの軍資金。初期の所持金が1ゴールドだ。


正直少ないと思ったが、神様たちの用意した異世界転生者用の残金の最後らしい。


つまり、俺の所持金もいままで来た転生者と同じ1ゴールドスタートだ。


でも、あれだ、しばらく新しい転生者が来ないってことだよな?


最後の一人ってなんか得した気分。


だからこそ、無理な要求に譲歩してくれたのかもしれない。


それと、はじめは1カパー=1円と考えていたので、初期資金1万円かと思ったが街を回った限りどうやら1カパー=1ドルのようだ。


それを考えると約100万円スタート!悪くない!と思ったがそんなことはなかった。


要は装備に金がかかる。


金属製の防具はどれも中古の鎧だけで20シルバー近くする。


手甲や足甲は大体その半額ほど。


皮装備でも5シルバー


武器に関しても、ロングソードで10シルバー。


盾も買ったら所持金はすっからかんだ。


宿代は問題ない。


冒険者ギルドに登録すると、宿舎を1か月間タダで貸してもらえる。


登録手数料に2シルバーかかったが、家賃と考えるとかなり安い。


一般の宿を見てきたけれど、安いところで一晩50カパーもかかるみたいだ。


次に食費の問題。


宿舎を借りれるといってもキッチンが付いてるわけではない。


つまり食事は外食メインになる。


元居た世界と違って食べ物の流通や生産が効率化されていないので感覚より少し高い。


一食10カパーで抑えられればいい方だろう。


つまり俺の今の所持金はお昼を食べていないので、97シルバー80カパーってところだ。


ちなみに硬貨はとてつもなく嵩張るので、80シルバーをギルドの個人倉庫に預けることにした。


個人倉庫は冒険者全員に与えられる貸金庫みたいなもので、お金とアイテムなら5個まで預かってくれる。


ただし、手数料がない代わりに、その冒険者が死んだときはすべてギルドに譲渡される仕組みになっている。


それでもリョックに大金を入れてジャラジャラ音を立てながら街を歩くよりはいいだろう。


最後にクラス選びについて。


クラスはあくまでも意思疎通の為であり、魔法を使う盗賊でも何でもありだ。


スキルを各ギルド、戦士ギルドや盗賊ギルドなどでお金を支払うことで教えてもらうことができる。


なので、最も得意とするスキルを覚えたギルドをクラスに指定するようなのだが、なぜ決めかねているかというと…


それはこいつを見てほしい。


冒険者ギルド内で無料で貸してもらえる能力石を左手で握る。


すると石が輝き、左手の甲に文字が現れる。


魔力の文字の横にその数値。


ちなみに文字は異世界文字なのだが、これは読めるようにしてもらった。


もちろん歴代の転生者たちも同条件だ。


これってある意味転生特典と思うかもしれないが、アルファベットと同様で26文字+数字しかないし、なぜかすべてローマ字読みで日本語だった。


つまりは、オッサンとの会話の一部がこの文字の講習だ。


魔法とかある世界で座学とか…。


と、話がそれてしまったが、問題は魔力量。


魔力 0


マジかよ…


魔力0…。魔法はどうやらお預けのようだ。


ちなみに回復の奇跡、いわゆる回復魔法は魔力を微量に使うらしいのだが、神への信仰心で数回なら魔力無しでも扱えるらしい。


でもなぁ…神様アレだったしなぁ…。


脂汗でテッカテカのオッサンを思い出す。


そんなわけで、これが今の現状だ。


まわりを見渡すと、俺と同じように冒険者ギルドの建物内で同じようにただ待機してるやつらがちらほらいる。


声をかけるか?


いや、どいつも一癖も二癖もありそうだ。


仕方がない…


俺は立ち上がり受付にいるお姉さんに声をかける


「今ここにいる冒険者の中で、使えないって理由でパーティ組めなくて気の弱いやつ誰ですか?」

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