↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生して人外娘と恋がしたい!  作者: こま
第三章 囁く狼
PR
100/300

vs囁く狼

跳躍効果の能力は使わずに物陰に隠れながら移動する。


残りの魔力はもうほとんど残っていない。


衝撃波なら1回、振動の魔法なら5回が限度というところだろうか。


ヒロが物陰から覗き込む。


そこに立っていたのは転生者の囁く狼。


そしてその狼の能力で操られているオーガの族長の娘ウィズだ。


クロスボウを持ってきていれば隠れて狼を攻撃するのだが、あいにくレインに預けたままで手元にない。


しかもいつも持ち歩いていた小刀も大波に飲み込まれた時に流されたのか見当たらない。


魔力で刃を作る魔力刀を使うべきだろうか。


しかしそれでは残りの魔力を使い切ることになる。


可能であれば振動の魔法でウィズを無力化して狼に挑みたい。


既に発動している跳躍強化はあと何回の跳躍ができるだろうか。


兎に角今は自分の体術を信じて突っ込むしかない。


この世界に来て約半年。


毎日の冒険者生活でヒロの体は少し引き締まった。


何度も窮地を乗り越えもした。


やるしかない。


ウィズが背中を向けたタイミングを見計らって物陰から飛び出し、岩を跳躍強化で思い切り蹴り一直線に突っ込んでいく。


狼がスーパーマンの様に突っ込んでくるヒロに気付いた時にはウィズに直撃してもみ合うように転がる。


そのままウィズの腰に装備された短刀を奪い取って狼に向かって突っ込んでいく。


二足歩行で動くやつには牙と爪がある。


だが、武器を持っているわけではないのでリーチではヒロに分がある。


切りつけるだけでは反撃を喰らってしまう。


狙うは胸を一突き。


胸を刺して直ぐに手を放せば振り下ろされる両手の手首を抑えられるかもしれない。


噛みつこうとされても喉元を掴んで抑えられるかもしれない。


思考に頭を回し恐怖を誤魔化す。


そして狼の懐に入り一突きに突き刺そうとした時だ。


狼は大きく後ろに跳んだ。


しかも様子見のようでその後に攻撃をしてくる気配がない。


「なんで戦わないんだ?」


「僕は戦いは苦手なんだ」


狼の意外な一言にすこし怯む。


だが、狼のその言葉は嘘かほんとか知らないがヒロは後ろから攻撃をもろに受けた。


ウィズの召喚した火球が直撃したのだ。


「ぐあ、くそっ」


背中に炎が付いているか自分では確認できないが、その場に転がり痛みと戦いながら背中を地面にこすりつけて炎を消す。


そのままウィズを見ると更にいくつもの火球を召喚しこちらに放とうとしている。


「ああもう、オーラフィスト」


ウィズが火球を放ったタイミングで右手に魔力を集中させて地面を叩き、横へと大きく跳びあがる。


今度は左手に魔力を集中させてボールを投げるような仕草をする。


マジックミサイル――圧縮した魔力を飛ばす魔法。


直撃すれば石で殴られた程度のダメージは入る。


マジックミサイルは見事にウィズの顔に直撃し、大きく仰け反る。


チャンスは今しかない。


ウィズにタックルを仕掛け地面に押し倒す。


そしてそのまま「振動(バイブ)」


ウィズの腰に手を当てたまま振動の魔法を使う。


掌から数センチ離れた場所から放たれる空気の塊はウィズの体の中で発生しただろう。


直撃した空気の塊は内臓を揺らしウィズを戦闘不能と追いやる。


ウィズの異変を確認する前に立ち上がりすぐさま狼の方へ振り替えると、既に狼は血を蹴りヒロに飛びかかっていた。


咄嗟に右手で狼の口を、左手で右手首を掴み。


だが、飛びかかった勢いを殺すことはできず押し倒される。


左手で引っかかれないよう右ひじで押さえつけながら、噛みつこうとする狼の口を必死で掴む。


狼の右腕は手首を抑えているのでこっちは何とかなりそうだ。


「グルルルル」と獣の声を出す狼の口から涎が垂れてくる。


この押さえつけている右手の力が負けたら首筋を一噛みで殺しに来るだろう。


「振動(バイブ)」


咄嗟の事でなぜこうしたか分からないが、右手で振動の魔法を発動する。


とくに脳に直撃して脳震盪を起こさせてたわけでもない。


眼球に直撃して目を回させたわけでもない。


振動の魔法は狼の口のどこかに当たっただけだ。


だが、急に振動したことで狼が少し怯んだのだ。


その隙をついて両足をまげて狼の胸へ押し当て、残った跳躍強化を使って狼を蹴り上げる。


狼が20メートルほど後ろへ吹っ飛ばされる。


だが、バランス感覚がいいらしく狼は見事に着地した。


「ウィズを返してここからどこかへ消えてくれないか!?俺じゃお前に勝てそうもないし、お前も戦いたくないんだろ」


「いやだ!僕はここで旅館を作るんだ!」


「それならちゃんと正攻法でやれ。そんな変な能力なんかに頼るな」


こんな会話をしているが逃げてくれると思ってはいない。


振動2、マジックミサイルを発動した。


つまりはあと魔力は2。


それでどう勝つか考えなければならない。


(その場を動くな)


狼の声が囁くように耳元で聞こえる。


普通の人々はこれで操られてしまうが、ヒロにはなぜか狼の能力は効果がない。


すぐさま横へと飛んで狼の出方を見るが狼は動いていない。


効果が本当にないのか確認したのだろうか。


短刀を落としてしまったのでどこにあるか確認したいが狼から目を話す訳にはいかない。


耳を澄ますと後ろの方でウィズが嘔吐する音が聞こえる。


もうこれしかない。


右手に魔力を集中して狼へ突っ込んでいく。


狼も構えているのでどうやら迎え撃つようだ。


マジックミサイルで怯ませて振動の魔法で終わらせる。


残りの魔力で出来るのはこれしかない。


右手からマジックミサイルを発射する。


ヒロの狙い通り狼の顔に直撃し、狼が背中を見せた。


いまだ!


だが、ヒロが出を伸ばした時にはヒロは真横へ転ばされていた。


尻尾だ。


狼は顔をそらす様に背中を見せたが、そのまま尻尾をスイングさせたのだ。


大したダメージはないがバランスが崩れ振動を使う事は出来なかった。


もう後は自力で懐に入って振動を使うしかない。


立ち上がろうとしたヒロに狼が飛びかかる。


ダメだ・・・両手を同時に振り下ろすつもりだ。


これは受け止めることはできない。


「オーラフィスト!」


左手に魔力を集中させて地面を叩く。


その反動で右に体が大きく跳んで狼の攻撃をかわす。


まずい、まずい・・・。


最後の勝筋を失くしてしまった。


もう逃げるしかないだろうか。


幸いまだ跳躍強化が残っている。


再度ヒロに狼が向かい、飛びかかろうとした時だ。


何処からか飛んできた火球が狼の顔面に直撃する。


「ぐわぁ、なんだ!?」


突然のことに狼が後ろへと大きく一回、二回とジャンプして距離を取る。


火球が跳んできた方を見ると、先ほどまで嘔吐していたウィズが正気を取り戻したらしく火球を放ってくれたようだ。


「なんで!?なんでみんな僕の思い通りにならないんだ!?人生は僕の思い通りになるってママが言っていたのに!!」


狼が大きな声を上げ地団太を踏む。


「僕は偉くなるんだ!ママが言ってたみたいにみんな僕に従わせるんだ!」


狼が雄たけびを上げる。


だが、狼がヒロに向かってくることはなかった。


なぜなら狼はその場黒い影に飲み込まれたからだ。


霧の中から突然大きな影が現れ、その影が狼に重なると狼はいなくなっていた。


霧の中に巨大な何かがいるのだろうか。


それとも狼の能力だろうか。


兎に角、狼はいなくなった。


「なんだったんだ・・・」


突然のことで状況が理解できなかったが、狼がいなくなったならウィズを連れてケティ達に合流しなければいけない。


当たりの霧が濃くなってきた。


この霧は誰の仕業なのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。