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008_紋章魔法実験と旅立ちの準備

それから一通り魔法と改造をを試してみたが、色々と分かってきた。まず、改造出来るのは基本的に、出力、範囲、距離、サイズ、効果時間でこれ以外にもアイデア次第で色々できそうだ。出力下げて範囲をその分広げたり、効果時間を極端に短くするけどサイズが大きい等など、改造はとても奥が深い。


そして、一番重要なのは特殊な制限等が掛かってる場合。家庭魔法はその用途上出力が必要無いので、杖にセットされていた魔法には過剰に魔力を注いでも一定以上は注げないようにセーフティーが付いていた。それをセシリアが外した結果、さっきの森林破壊へと繋がって行く。実際どれもこれも改造の加減が難しく、正直どうしようか困ってる。


「きゃあああ、直也さん、焚付用の種火だったのが、ログハウスを包み込めるぐらいのサイズに!!」


「そうだね、大家庭魔法使いだからね」


「直也さん!直也さん!お洗濯用のウインドボールが、岩をゴリゴリ削ってます!!」


「そうだね、大家庭魔法使いだからね」


「あ、ああ、なんて言う事でしょう、牛のお乳を搾乳するだけだったエアハンドが、全身のコリを揉みほぐしてくれる、全身マッサージ魔法に、ふ、ふぁあああああこれは病みつきになります」


「そうだね、大家庭魔法使いだからね、てか、最後は楽しくなってきて遊んでるなセシリアさん」


全身スッキリして、やりきった顔のセシリアが俺の方に戻ってくる。


「直也さんこれ本当に凄いですね。今まで攻撃が出来なくて悩んでたのが嘘みたいです」


「凄いのは僕じゃなくて、紋章の力をもうこれだけ使いこなしてるセシリアさんですよ」


セシリアが嬉しそうにこっちにやって来て、俺の頭を撫でて来る。


「いきなりなんですか、セシリアさん恥ずかしいですよ」


「ふふ、力を行使するのが私だからそう見えるだけで、私は直也さんの力をちょっとお借りしてるだけですよ。でもこの先、私が魔法を使うと、きっとほとんどの方が私を褒めてくださって、直也さんを誰も褒めてくれないでしょうから、私が直也さんをうーんと褒めてあげますね。直也さんの力は凄いですよ、えらいえらい」


セシリアが、俺の頭を抱きかかえ頭撫でてくれる。前も言ったけど、背の高さの関係上俺の顔の半分はセシリア特製ふかふかベッドにご招待されてる。彼女はもしかしてダークエルフに化けたサキュバスが何かなんじゃないだろうか。


「さて、直也さんここを出る為の方法は手に入れたので、ここから出発する準備初めましょうか」


やっと撫でるのを止めて、俺を離してくれたセシリアが窓の無い家。そう、結界を貼る装置が有ると言っていたあの窓の無い家に歩いて行く。もう少し頭を撫でてもらいたかったけど、いや、やめよう。一言頭を撫でてほしいなんて言ったら最後、目を輝かせて朝から晩まで永遠と頭を撫でられて頭頂部が剥げてしまう。


彼女が窓の無い家まで来て扉を開けると、普段から使っているからか扉は音も立てずに開いていく。部屋に入る際にセシリアが、杖を上にかざすと天井に小さい光の玉が浮かび部屋全体を照らしだした。部屋の広さ事態はセシリアの家と同じだが、部屋の壁は全て天井まである木製の棚が並び、その中も使用してるからだろうか、所々抜けは有るものの全てぎっしりと食料や香辛料が詰まっていた。そしてセシリアが屈んだかと思うと、床の一部に5センチ程の溝が有り、そこに手を入れて引っ張り上げる。すると床の一部が扉になっており、人が1人通れるぐらいの地下への階段が出てきた。


「足元に気を付けて降りてきて下さいね」


階段へ足を踏み入れると、壁の左右1個づつ付いたランプが自動で点いていき、少し降りると、鉄製の重厚な扉をセシリアが懐から出した鍵で開ける。部屋の真ん中には腰ぐらいまで有る青い六角形の水晶が鎮座していた。


「これが、この村を守ってくれているガードクリスタルです。この世界の街には大なり小なり、魔力の流れる源泉のような物が有り、そこを中心に発展してきました。この村も小さいですが魔力の源泉が有り、それを使ってこの装置を動かしてるんですよ」


セシリアが慈しむように、ガードクリスタルを撫でている。これが彼女を今日まで守ってくれた、良き隣人であり、頼れる彼だったわけだ。


「ふふ、この子凄いんですよ。結界の側に来た魔物の方向感覚狂わして、回れ右してくれるんです」


「おお、ちょっとした幻術みたいですねそれ。その子はこのまま起動しっぱなしで行くんですか?」


「ええ、この子は場所を移すわけにも行かないし、それにいざとなったらまた此処に戻っても来れますしね。さて、色々と必要なものを見繕ってしまいましょうか」


そう言われて周りを見ると、上の階と同じく壁一面に木製の棚が並んでいるが、上と明らかに違うのは、棚に置いてある物が道具屋や武器屋と言ったほうが良いのでは無いかという大量の資材。そこから、セシリアが手際よく必要であろう荷物を準備していく。


「まず、2人分の調理道具に、野外活動セット一通り。テントは2人だから小さめので良いし、後は上である程度の食べ物入れて、それに地図と、そうそう直也さんの装備は此処で見繕ってあげますね」


セシリアがウッキウキで防具の棚を上から下まで漁りだす。これも可愛いし、あれはカッコイイ、と何やら不穏なセリフが聞こえてくるがあれだ、女性の買い物が長いようにこれも、長引くんだろうな。


それからたっぷり一時間後、彼女の服選びは無事終了したらしい。


「さ、直也さんこれ全部試着して決めましょうね。素材は良いんですからどれも素敵で悩んでしまいますね」


そう言って、彼女の目の前にはうず高く積まれた服と装備の山が出来上がり、親バカな親が我が子に服を買ってあげるかの如く、いきごんでいる。


「ささ直也さん此方へ、時間がいくら有っても足りないんですから、ジャンジャン着替えますよ」


そうして、俺はセシリアに腕を捕まれ彼女が満足するまで、異世界1人ファッションショーする事になるのだった。

何時もお読み頂き有難うございます。ブックマークや評価ポイントを頂けると、今後の励みになりますので、よろしくお願いいたします。


次回は、セシリアママのすっごく可愛くて、色々と問題が多々あるメイン衣装が登場しますのでご期待下さい!!


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