020_敵の全容判明
「ささ、まずはお名前を喋って戴いてよろしいでしょうか?」
「その前に、このぶっ刺さった枝をどうにかしてくれよ。痛くて頭がどうにかなっちまいそうだ」
「あらあら、御免なさいね。先にグリーンブーストして無い枝を抜いちゃいましょうね」
セシリアが屈んで、刺したばかりの枝を掴むと一気に引き抜き、机に置いてあった水差しの水を傷口にかけ流していく。
「痛ってええええ、もっと丁寧に抜きやがれ」
セシリアがため息をついたかと思うとおもむろに立ち上がり、高い位置から再度傷口に水をかけていく。先ほどよりも勢いよく水が傷口を刺激して男の呻き声が響き渡る。水差し一つ分たっぷりの水をかけ終わると、憔悴しきった男の髪の毛を鷲掴みにして、強引に前を向かせ顔を覗き込む。
「何か勘違いしてらっしゃるようですが、貴方に殺されかけた直哉さんが止めろと言ったから止めただけで、私は何一つ貴方を許していません。分かったら必要な事だけ喋って戴けますか」
男が涙目になりながら必死にコクコクと首を縦に振る。男の髪の毛から手を放し、
「はい、では改めてお聞きします。貴方のお名前は?」
「俺はトンキー、バーニーズ団で酒関係を担当してる」
「バーニーズ団とは?」
トンキーはバツが悪そうに下を向いてしまい、口をモゴモゴとさしている。
「ふう、ジルさん水差しもう1個持ってきて下さいますか」
「それは勘弁してくれ!!喋る、喋るから」
「余計な手間をこれ以上かけさせないでください。ちゃんと、全部喋り終わったら病院の前ぐらいだったら連れてってあげますから」
「この街で強盗や窃盗、あと今なら闇酒作りとかやってる」
なるほど、事前に聞いてた通り、ここのエールの供給が減れば自分たちの闇エールがもっと売れると考えての行動か……本当にそれだけでタンクに穴開けてくるって、こいつらあんまりかかわりたくないな。
「ふざけるな、本当にそれだけの理由でタンクに穴を開けたと。あれがどれだけ大切な物か分ってるのか!!」
今まで黙っていたジルが改めて真相を聞いた瞬間割って入ってくる。無理はない、職人の命とも言えるタンクに穴を開けてられたんだから。
「ああ、俺も酒を造るようになったから分かるよ、タンクの大切さが」
「この言わせておけば!!」
今にも殴り掛かりそうなジルをセシリアが制止する。
「ジルさん話が進まないので後にしましょうそれは。先に必要な事だけ聞いてしまいたいので」
ジルが何も納得して無い顔で壁際に戻っていく。
「では、アジトはどちらにありますか」
「スラムの奥の方にある2階建ての建物だ」
ふむ、さすがにセシリアの『おはなし』が効いたのか素直にしゃべってくれるようになったな。
「組織の人数と構成は」
「20名ほどで、元シルバーの冒険者が2名と残りは野盗くずれだ」
「ボスについて知ってる限り話して」
「バーニーズさん。元ゴールド冒険者でゴリッゴリの接近戦ファイターだ」
「さてこんな所ですかね、直哉さん如何いたしますか」
約17名の野盗崩れに元冒険者が3名か。セシリアがいれば正直大丈夫だとは思うけど、最初の依頼としては不安が多いな。そもそも、ここの護衛がメインの依頼だしなこれ。とりあえず、明日ギルド長に報告行くか。
「とりえず、明日1回ギルドに報告に行こう」
ジルがそれを聞くや否や直哉の方に寄って来る。
「え、バーニーズ団を壊滅させるために乗り込むんじゃないの?」
「それについては、僕たちへの依頼はここの護衛がメインなのって言うのが建前で、正直に言うと、事が少し大きすぎるのでギルドの判断を仰ぎたいのが本音かな」
「そうですね、思ったよりも大がかりな話ですし、私もその方が良いかと思います」
「あー、うん、そうね。まさか初日に犯人を拘束できるとは思ってなかったし。依頼内容失敗したわね」
ジルが頭を掻きながら困ってると、トンキーが恐る恐る声をかけてくる。
「なあ、俺はもう喋る事喋ったしもう縄といてくれねえかな。それと、病院にも連れてってくれよ、さっきから足がズキズキしっぱなしでたまらねえんだ」
あー、こいつどうしよう。正直今逃がしたら、報告されるのが目に見えてるし、どうするかなこれ。
「ジルさん、こう言う野盗とかって突き出すような場所有るんですか?」
「騎士団に登録されてれば賞金も出るけど、バーニーズならいざ知らず、こう言った三下はどうかしらね。騎士団の前で悪事を働いてて、その場で倒せばまた別だけど」
「うわ、思った以上に扱い微妙ですね。このまま解放したら絶対報告に行ってしまうし……とりあえず、明日ギルドに行く時に連れてきますか」
「直哉さんお優しいんですね。直哉さんを傷つけたゴミなんて、森に埋めてしまえば良いのに」
セシリアさんがさらっと怖い事言うな。てか、この人は僕が絡むとめっちゃ怖くなるな。
「おいおいおい、病院に連れてってくれるって話はどうなったんだよ。俺ちゃんと全部喋ったじゃねえ、もごーーーもごもごもご」
セシリアさんが手際よくトンキーの口に猿ぐつわを締めなおす。容赦ない。
「とりあえず、これはこのままにしておいて、今日はもう遅いし寝ませんか?」
「そうだね、ジルさんは寝てもらって、僕たちで交代で見張りしようか」
ジルがトンキーの全体に縄を追加してよりいっそう簀巻きにして壁の隅に移動させると、床の血を掃除し始めるので、3人でとりあえず奇麗にした。ジルはそのあと自分の部屋に戻り、僕とジルは交代で見張りに……彼女が二人になった瞬間隙あらば引っ付いて来ようとするのを頑張って回避し(そもそもトンキーいるし)どうにか先に彼女に仮眠をとってもらう。とりあえず、解決は何もしてないけど少しは話が進むかなこれで。
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正直年末からスタートして一気に15話以上ほぼ毎日書いてたら、電池切れしてあっはっは、こりゃやばい。しかも、ごはん、イチャイチャは幾らでも書けるんですけどねー。とりあえず、やる気再注入の為に知人に相方寄りで異世界無双の表紙イラストを描いていただく事になりました。まだ、公開されてないジルの正式衣装もこみでがっつり描いていただく予定です。正直ジルが正式参戦するとエタる前にノクターン落ちしそうなのが問題ですけどねwwww では、今後も頑張って行きますので、よろしくお願いいたします。




