009_セシリアのお着替え(立ち絵付き)
「直也さん素敵です!!」
「アリガトウゴザイマス」
あれから、セシリアさんが服を選んでいた時間と同じだけ異世界ファッションショーが続いてる。エルフの弓兵装備から歴戦の重装歩兵、はたまた貴族のお坊ちゃまの様な服まで、この地下に装備を揃えた人は一体何を思ってここまで用意していたんだろう。
「ああ、直也さんは本当に何を来ても似合いますね、どうしましょう、もういっその事すべての装備を持っていきましょうか」
無理、絶対無理。荷物の殆どがそれで埋まってしまう。
「セシリアさん、大変嬉しい申し出では有るんですが、やはり我々には限界輸送量と言う物が有りまして。その、流石にメイン1着にして頂ければと」
それを聞くやいなや、セシリアが床にぺたっと座り込み、よよよよよと泣き真似を始める。可愛いけど、可愛いけどさ!!
「40年ぶりに人様のお洋服を選ぶ楽しみを、直也さんは奪うと言うのですか!!」
「駄目な物は駄目です。ほら、1着ならセシリアさんの好みで良いですから。早く決めちゃって下さい」
「むー、それで妥協してあげましょう。直也さん貸し1ですからね」
いつの間にか立っていたセシリアが、お尻のあたりの埃を手でぱっぱっと払いながら、何かのたまっていた。
「仕方ありませんね。ではこれにしましょうこれ。私達エルフの伝統と、直也さんの安全性を両立できていて良い感じで大変よろしいかと」
そう言って、彼女が選んでくれたのは、緑色で厚めの長袖シャツと鈍い銀色のライトアーマー、下は白いズボンに皮のブーツで、最後に皮で出来た腰まで隠れるハーフマントを羽織る。弓を持てばエルフの弓兵と言われても驚かないし、これに盾とロングードを持てば立派な前衛にしか見えない。
「うーん、似合ってるし可愛いんですけど……無難すぎてつまんないですねこれ」
「良いんです無難で。無駄に装備有っても困るだけですから」
「では、今後も服を選ぶ機会は有るんですから楽しみにしておきますね」
「そう言えば、セシリアさんはどうするんですか装備は?」
「それならご安心下さい。かなり昔に此処を出る時はこれにしようって装備を一式用意していたんで。確かこの辺りに」
そう言うと、セシリアが倉庫の奥から膝ぐらいまで有る木箱をズルズルと引きずって、積もっていた埃をふーっと一息で払が、お約束でゴホゴホ咳き込んでいる。
「けっこう大きい箱ですね。かなりの量が入ってそうですけど」
「ふふ、凄く可愛いんですよ。ただ、農作業とか普段使いするにはもったいないものばっかで、ここにしまったんです。下着とかは無難な物が1年ぐらい前に全て使い潰してしまって、可愛いのも今は使ってるんですが」
あー、この間紋章刻印した時のあれはそのためだったのか。
「じゃあ、私も着替えますので、呼ぶまで上にいてくださいね」
俺の時は、パンツいっちょのすがたで散々っぱら着替えさせられたのに理不尽だ!!
「あら、直也さん私の着替え手伝ってくださるのですか?ええ、ええ、それは大変良いですね、是非お手伝いをですね」
一目散に階段を駆け上がりながら、藪蛇パーティーから退散する。
40分ぐらいだろうか、下から声がかかって降りてみると……素材が良いのは理解してたつもりだが、俺はまだ理解が足りなかったと痛感する。神々しいを通り越しもう、彼女さえ居れば何もいらないと一瞬思ってしまうぐらいに心を奪われてしまった。
「もう、せっかくお気に入りに着替えたんですから、何か言ってくださいよ、恥ずかしいじゃないですか」
ぷくっと頬を膨らませてから、ぷすーっと空気を抜いていく120歳に今日も異世界で僕はトキメイています。
「ふふ、私がダークエルフだからなんですけど、真っ白な装備って凄く好きなんですよねコントラストが綺麗で」
セシリアの装備は全部が白色の布に銀の糸で装飾がされており、肌とのコントラストが凄く際立っている。ノースリーブのシャツは襟が無く、首の中ほどからおへその上ぐらいまでで少し短い。胸元はセシリアの大きな二つの北半球が全て露出するようにソコだけ布が無く、彼女のフカフカな魅力がこぼれだしてる。両腕にはピッタリとした肘上までのロンググローブに、前面の両手を隠すぐらいまでの腰まで有るハーフマント。
お尻の形が綺麗に出てるロングスカートは右側に太もも辺りまでの深いスリットが入っており、そこからオーバーニーとガータベルトが顔を出している。足元は少しだけ無骨なショートブーツで、そこだけ冒険者らしさを唯一感じられる気がした。美しくも妖艶で可愛い、彼女のワガママボディーと同じぐらいワガママな衣装がそこには有った。
「その、何ていうか、凄く綺麗です……ごめんなさい、本当にそれ以外言葉が思いつかないですこれ」
正直彼女を今は直視できないし、凄く顔が赤くなってる自信がある。それに気づいたのか、セシリアが凄く嬉しそうに俺の顔を覗き込んでくる。
「もー、そんな顔で言われた嬉しくなっちゃうじゃないですか。良いんですよ直也さんはどれだけ見ても。貴方の紋章を刻印された、貴方専用の大家庭魔法使いなんですから。ほら手を貸してください、ココ触れば少しは実感わきますか?」
「って、なに紋章触らせてるんですか」
彼女が手に取った俺の手を紋章へあてがうと、優しいあったかさと、汗をかいてるのか少しだけ湿っていた。
「私も直也さんに見てもらうまで凄く恥ずかしいし心配で、汗がこんなに出てしまいました。ね、大丈夫ですよ」
何が大丈夫なのか全くわからないけど、そう言われた瞬間何故か凄く落ち着いてきた。彼女がニコッと笑って、紋章にあてがっていた手を離してくれる。
「この装備は見た目だけじゃなくて、効果も一級品何ですよ。異常状態への抵抗に魔力抵抗、少しづつですが魔力も回復してくれて、おまけに汚れても簡単に洗い落とせちゃう頼りになる子なんです。さて、残りの武器もさくっと選んでしまいましょう。私は杖用の革製ショルダーホルスターに改造済み家庭魔法用のショートロッドを1本づつで合計2本。直也さんは、一応自衛用のショートソードと盾装とかで大丈夫ですか?」
セシリアが手際よく棚から色々と選んでくれる。正直武器は何を使っていいかわからないので、彼女が選んでくれたものを素直に選ぶ事にした。
「その杖、えーとショートロッドだっけ?それが前使っていた家庭魔法用のやつかな?」
「そうですね、これがさっきのと同じ家庭魔法用ショートロッド、ハウスキーパーさんです。これの中身を先程試した改造済みの魔法が入った物を数本ほど普段は持ち歩くことにします」
彼女いわく、魔法使いの杖はロングロッドとショートロッドに分類され、小回りが効くのはショートロッド、大味だけど威力はピカイチのロングロッドに分かれるらしい。使える魔法も回復や支援がメインの聖属性の魔法が複数セットされてるホーリーロッドシリーズや、炎系統の魔法がセットされてるイグニスシリーズなどなど、自分に有ったものを装備するのが一般的で、その系統を極めて行くと杖にセットされてるの以外にも、オリジナルで魔法を作れるらしいが、そんなのは稀だそうだ。
「イグニスロッドとかも一応ここに置いてあったんですが、さっき試しても使えず、改造も出来ませんでした。今の私の理解力では家庭魔法しか使えないみたいですね」
少ししょんぼりしてる彼女は可愛いが、大丈夫家庭魔法だけでも十分です。
「では、上で軽く地図で最初の行き先の説明をして、出発しましょうか」
彼女がさっきまでの荷物を二つの鞄に詰め込み、用意してくれた。片方がやけに大きいが……ここは俺の出番だな。
「じゃあ、僕これ持ちますね」
「え、それ凄く重いですよ」
頑張って大きい方を背負ったは良いものの既にを後悔してきたぞこれ。
「男の子なんですね。きつかったら言ってくださいね」
そして、2人で荷物を1階まで運び軽く食料を詰め、セシリアが地図を出してくる。
「地図有るんですね、てっきり無いもんだと思ってました」
「ごめんなさい、質問されたら出そうと思ってたら、トントン拍子でココまで来てしまってすっかり出すタイミングが無くて」
「いえいえ、お気になさらず。これって世界地図ですか?」
「これは、この村の何方かがこの近辺だけを書いてくれてる地図で、大きな地図は王都にでも行けばもしかしたら手に入るかもしれません」
「なるほど、了解しました」
では、と言ってセシリアが用意した地図には、山に囲まれた大きな森の中に村が1個有り、それがココなのだろうか彼女が指を指している。
「私達が居るエルフの隠れ里がココで、一番近くで最低限の物が揃った街がココから徒歩で1日半の距離になります。私が昔襲われた家は実はすごく遠くてこの地図には乗って無く、徒歩だと約3ヶ月の距離になります」
「え、君のお爺さんはその距離をどうやって?」
「後からわかった事ですが、ここまでの転送用魔法がセットされた使い捨てのロングロッドを使ったみたいなんです」
「へー、便利なものも有るんですね」
「ただ、凄く高い物で、普通の方では到底買えないレベルの物になります。多分ですが、この隠れ里用に1本だけお爺ちゃんも譲り受けてたか何かしてたのかと」
「了解しました。では、この森を抜けた先の街道に有る街を目指すで大丈夫ですか?」
「はい、そうなります。順調に行けばこの森事態は1日で抜けて、もう1日街道を歩けば到着する予定です」
「わかりました。では、行きますか」
「はい!」
そして、俺達はついに森と結界の境目へ移動をしはじめた。
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セシリアママの衣装を表現するためにアホみたいに時間がかかりましたが、無事書き終わりました(説明を妥協すれば良いんですが、どうしてもここだけは、くどいと言われてでも細かく描写したくてしかたないフェチ心)その為大変おまたせしてしまい申し訳ない。でもでも、本当に好きを詰め込んだ衣装になったので楽しんで頂ければ幸いです。