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過ちを犯した神様は失格ですか?  作者: 藍川紅介
第1章 終わりと始まり
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第7節  一人きり

 一人きり。


 暗闇の中。


 俺はただひたすらに思考する。


 ふとどこからか、耳元に声が届いたのが聞こえた。


「よう、兄弟。進捗はどう?」

「……お前か。まったくだな。そういうお前はどうなんだ?」

「こっちも全然駄目。尻尾さえつかめない。分かってたことだけどね。時間が経つのを待つしかないよ。ぼくらは時間は気にしないってのに、向こうの出方を待つしかないなんて滑稽だとおもわないかい?」

「ふん……分かりきっているならば、わざわざ俺に訊いてくるな」

「まぁそう怖いこと言いなさんなって。俺とお前の仲じゃあないか。いつもの自己嫌悪かい?」


 そう。


 時間は全ての人に平等である、とそう人間たちは言っている。


 が、それは人にとって。


 あるいは大半の神にとって平等であるだけだ。


 例外はいつも存在する。


 はっきり言っておくが時間は有限じゃない、無限だ。


 他の者に全く理解されないことも分かっている。


 だが俺が証言し、また『俺』が賛同することでそれは真実になる。


「自己嫌悪……そうかもしれないな」

「珍しいなぁ。きみがあっさりと認めるなんて」

「俺はいつでも寛大だ。それに、俺は『俺』の言うことには耳を傾ける必要がある」

「ははは、きみらしいなぁ」


 その声の主は笑う。


「なぜ……そんなに他人行儀なんだ。」

「それはきみが嫌いだからさ。しょうがないじゃん。でもきみの言う通り、ぼくはきみのことを無視することはできない。だからこうやってきみの意見を訊きに来たんじゃないか」


 そう俺は『俺』が嫌いだ。


 そして『俺』も俺のことが嫌いで。


 同族嫌悪、というやつだ。


 一人きり。


 暗闇の中。


 俺は再び思考を続ける。

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