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 「――え! 俺たちって、もうすでに〝知り合い〟だったの!?」

 ――教室への帰り道。

 すでにほとんど全ての生徒が部活だの、帰宅だのでいなくなった廊下で、俺は明ちゃんに衝撃の事実を伝えられた。

 ――なんと、俺と結が出会ったその瞬間、俺は二人とも出会っていたそうなのだ。

 そういえば……と何となく思い出してきた。この間結とあの初めて出会った公園で話していた時、俺は確かに何かを思い出しかけた。

 そう。それこそが明ちゃんの言った衝撃の事実――あの時、公園にきた結の後ろについて歩く、二人の少女の姿……それが、この愛ちゃんと明ちゃんだったのだ。

 「え~? 亮さま……もしかして本気で忘れてたんですか~? なんかショックです~」

 「え!? い! いや! そそそ、そんなことはないぞ! 忘れていたといっても、それは本当にちょっとした〝ど忘れ〟ってやつだ! ちゃんと憶えていたさ! その証拠に名前の読みも〝まな〟と〝さや〟だって当てたし……あ、あっはっはっ!」

 「……じゃあ、何で心の中でずっと〝ちゃん〟を付けて呼んでいるんですか? 昔は普通に呼び捨てにしてくれていましたよね?」

 ……どうやら全てお見通しらしい。……というか、心の中まで見透かされていたようだ。

 「……ゴメンナサイ。ほぼ忘れていました」

 俺は一度立ち止まり、愛と明に向かって深々とおじぎをした。

 「……私は、気にしていませんよ?」

 ニコ、と愛ちゃ…愛、が微笑む。それに対して俺は「おお!」と喜んだ。……愛はどうやらものすごく優しい娘であるらしい。

 「私は、かなり気にしますよ?」

 ムス、と明が顔をしかめる。それに対して俺は「ええ!?」と驚いた。……明はどうやらものすごく(きび)しい娘であるらしい。

 「……なーんてっ、冗談ですよ? それより早く行きましょうよ、亮さま」

 ……よかった。そう心の底から安堵して俺は三人を追いかけた。

 「――ところで」

 と、俺が追いついたところで、明が歩くスピードを落とし、俺に近づいてきた。

 「ん? どした?」

 聞くと、明は前を歩く結たちのことを気にしながら急に小声で話しかけてきた。

 「……いえ、ね? ちょっと亮さまにお聞きしたいことがあったもので……ズバリ亮さま。結さまとはいったい〝どこまで〟行ってらっしゃるんですか?」

 「どこまで行ったって……何が?」

 「もうっ、とぼけないでくださいよ~。すでに結構、〝進んで〟いらっしゃるんでしょ?」

 いや、べつにとぼけているわけじゃあないんだが……。

 「……いったい何の話だ? どこまで行ったって……あれか? この間結と母さんとまたデラックスバリューに買い物に行った時の話か?」

 「ヤだなー亮さま。もう古いですよ、そんなふうに誤魔化すのは……どこまで行ったっていうのはもちろん、亮さまと結さまの、〝愛の関係〟が、ですよ❤」

 「なっ……!!」





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