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「「ぷ……あははははははははは!!!」」
――二人が、笑っ……え???
あまりにも予想外だったその二人の反応に、俺と結は思考回路ごと完全に固まってしまった。
ぽけ~、と何をすることもできず、そんな二人を眺めたまま数秒……ようやく、二人はその意味不明な笑いの波から帰ってきた。
「も、申しわけありません、亮さま……突然笑ってしまって……」
瞳に溜まった笑い涙を左手で拭いながら、まだ若干の笑いを残しつつも、愛ちゃんは話した。
「亮さまがお聞きになったその質問の答えが、私たちにとってはものすごく〝当り前〟で、そして何より〝簡単〟なものだったので、つい……」
「……俺の質問の答えが……〝簡単〟???」
ようやく思考回路が回復した俺ではあったが、しかし愛ちゃんが言い放ったその言葉の意味は、未だ到底理解不能なままだった。
「???」
……どうやら、結も俺と同じ状況のようだ。もう首が戻ってこれないんじゃないか? と思えるほどに、傾げきっていた。
あはは、とそんな俺たちの様子を見てか、再び笑った明ちゃんが話した。
「ふふふ……何もそこまで首を傾げなくても――じゃあ、そんな首がちゃんと戻ってこれるように、答えを言っちゃいますね? 答えは――」
せーの、と明ちゃんは愛ちゃんにサインを送った。そして――
「「――答えは、私たちが結さまのことを、〝大好き〟だからです!」」
ビュウ、とその時だった。屋上に風が吹き抜けた。
その風は、二人の迷いのない気持ちを……〝心〟を、そのまま映し出したかのような、力強い、しかし爽快感溢れる心地良い風だった。
二人は、その言葉を言い放ってから、さらに続けた。
「――結さまは私が一人で泣いている時に、いつも優しく声をかけてくださいました」
「――結さまは私が一人で悩んでいる時に、いつも笑顔で声をかけてくれました!」
「――だから、です。私たちは〝大好き〟なんです。結さまのことが……」
「――だから、いっしょにいたいんです。これからもずっと、仕えていたいと思ったんです」
す、と……二人は両手を床に付け、そして頭を下げた。
「……私たちには、その〝想い〟しかありません」
「ですけど、その〝想い〟は、誰にも負けない自信があります!」
だから……
「――ありがとう」




