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「何だと?」
と、不覚にも、ちょいとだけ驚いてしまった。
高利はそれを見て調子に乗ったのか、わはは! と嬉しそうに笑って続けた。
「どーだ! 驚いたかコノヤロウ! てゆーかこれだけじゃねーんだぞ? 俺の掴んだ情報はよ? ――なんと! その二人とも〝女子〟で、さらには〝超絶美少女だった〟んだよ!」
「何? 〝だった〟、だと? まるで見てきたかのように言うじゃねーか?」
「そのとーりなんだよ!」
高利は、ふふん、とエラそうに鼻を鳴らせた。これは相当に調子に乗っているという証拠だ。
……このまま黙って聞いていていいのか? とも思ったが、悔しいが、俺にもこの話は少し興味がある。ここは黙って聞いておこう。
――と、高利はさっそく調子に乗っているわけを話し始めた。
「実はな、この間……二週間くらい前かな? そう、ちょうどお前がお嬢さまに拉致されて早退した日(※高利たちの間ではそういうことになっているらしい。実際は結が飛び降りた日)のことだ。俺がブルーな気分のまま、何となく校内を徘徊してたらさ? 突然、見慣れない二人の美少女が俺の横を走り抜けて言ったんだよ! ……まぁ、何か知らんが、そん時は血相変えて? って感じだったけどさ? おまけに手には保健室辺りから持ってきたっぽい〝毛布〟が握られてたけど……あ、いや、まぁそんなことはどうでもいい! とにかく一瞬ではあったが、俺の脳内にはしっかりと、あの美少女たちの顔やら、容姿やらが、しっかりと! ――大事なことだから二回言ったぞ? ――焼きつけられているわけよ! そんで後からその二人のことを先生に聞いたら、近いうちにここに転校してくる生徒、ということが分かったわけだ!」
「なるほどな……」
それでそこからさらに詳しく調べて、転校してくるのが〝今日〟、ということを突き止めたわけか。
ちっ、どうやら今回は、本当にビッグでサプライズなニュースだったようだな……。
そう限りなく屈辱に思いながらも納得して、しかしそれならと、今度は俺の方から質問をしてみる。
「で? それって具体的に言うとどんな美少女だったんだ? べつに、お前のたった一つだけ信用できる、美女、美少女を見極める目……〝グレイト・ガールズ・イン・アイ〟とでも名付けようか? それを疑うわけではないんだけどさ?」
「なんか、ス○ンドみたいだな、それ?」
と冷静にツッコミを入れつつも高利は答えた。
「だが、確かにその気持ちは分かる! ……とはいえ、それを口で説明するのはヒジョーに困難だ。だからここは特徴だけ語っておくぞ? ――二人の特徴はズバリ、〝髪の毛の色〟だ」




