#6,結。 6-1
………………ここは……どこだ…………?
――目を開けると、俺の目の前に広がっていたのは、文字どおり〝何もない〟、見渡す限りの暗闇に覆われた、〝真っ黒な世界〟だった。
……あれ? 俺……こんな所で、何をしてたんだっけ……?
ぼんやり、と……まるで寝ぼけている時のようにはっきりとしない意識の中。ふと、俺は視線を落として、自身の身体を見てみると……不思議なことにこの暗闇の中。俺の身体だけはまるで……そう。夜道、車のライトにでも照らされているかのように、はっきりと見ることができた。
……どうなってるんだ? ここはいったい…………ん?
その時だった。偶然動かしてみた右手……そこに俺は何か、〝違和感〟があるのを感じた。
……何だ? 気になった俺はそのまま手を目に近づけてよく見てみると……そこには、
「――〝血〟?」
――そう。俺の手の平には、なぜか、多量の〝血〟が付いていたのだ。
痛みは……感じない。……しかし、より目を凝らして見てみると、その手の平は、まるでどこかで激しく擦ってしまったかのように、痛々しく擦り切れてしまっていた。
――いや、それだけではない。同じように左足にも〝違和感〟……見れば、こちらは制服のズボンの上からであるために分かりにくかったが、そこも確かに、おびただしい血によって赤く濡れ、ズボン自体も所々擦り切れてしまっていた。
「な、何だよこれ……俺、いったいどうしちまったっていうんだ? 何でこんなに血が……」
――――――ッッ!!!
次の瞬間だった。
血の滲んだ手の平……それを見つめていた、その時。俺の頭の中に突然、激しい頭痛と共に強烈な〝存在感〟を纏って思い浮かんだのは、――〝結〟の姿だった。
刹那、なぜか俺の両目からは大粒の涙が溢れ出し、そして同時に、胸の奥が熱くなり、心臓を外からものすごい力で締めつけられているかのような、そんな不気味な〝痛み〟が走った。
な……何だ!? 何なんだよ、これ!? この感じ…これは……まさかっ……!!
――〝結〟ッッ!!!!!




