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――朝起きると、台所には妙な置き手紙が、文字どおりテーブルの上に置いてあった。
【――亮ちゃんへ。これ以上は亮ちゃんの身体が持たないと母さんは判断したので、後はまかせておいてください。お夕飯には戻ります。お昼はてきとーに食べてね❤ 母より】
……どうやら、などと言うまでもなく、母さんが書き置いたものであるらしい。その手紙のすぐ脇には……おそらくお昼代であろう。五百円玉が無雑作に置かれていた。
五百円……まぁ、スーパーなら弁当とジュースくらい買えるな……。
――いや、そうじゃないだろう。と自分にツッコミを入れてみた。
そもそも何なんだこの手紙は? 何をまかせろと? あと、さっきから結の姿が見当たらないんだが、ひょっとして母さんが勝手に結をどっかに連れ出したのか? ――せっかく結が俺に〝初めて〟の〝手料理〟を作ってくれるって言ってたのに……まったく、今日は何だか変な夢は見るし、〝木曜〟だと思って起きてくればなぜだか〝土曜〟で学校は休みだし……いったいどうなってるんだ?
――――――。
「……ん?」
ふっ――と、俺の脳裏を〝何か〟がかすめて行った。
……何だ???
不思議に思い、何となく後ろを振り返ってみたものの……特に、何か変わったものがあるわけでもない。
「気のせい、か……???」
……………………………………。
「……何だかな」
くしゃり。頭をかいて、俺は大きくため息をついた。
……もういいや。何だか今日はわけの分からないことばかりで頭が変になってしまいそうだ。ここは……そう。どこかに出かけてみよう。どうせ弁当を買いに行かなきゃならないんだ。うん、そうしよう。
そう決めた俺は、さっそく自分の部屋へ行って着替えを済ませ、一応、と足りなかった時のために、念のため自分の財布を持ち、テーブルに置いてあった五百円玉を入れて、家を出発した。




