14-2
……ばっ、
「バカバカしい!」
俺はそう言い放ち、すぐに続けた。
「あんなのは〝まぐれ〟だ。〝偶然〟だ。たまたま条件が重なって起こった〝奇跡〟だ! お前の言うとおり、勝ちは勝ちかもしれんが、決して、狙って起こせるものじゃあない!」
「だったら、改めて俺様も聞こう」
ギシッ……ベッドから立ち上がった高利は、そのまま、俺の方に向かって歩み寄りながら話した。
「お前はさっき言ったな? 『素っ裸の村人A、Bクラスの最弱戦力が合わさったところで、天変地異クラスの最強戦力を持つ元・お嬢さまたちには〝勝てない〟』と――『手で扇いで台風を吹き飛ばせるか?』無理だな? 『雷よりも速く動けるか?』不可能だな? 『燃え盛るマグマよりも熱くなれるか?』絶対に、なれないな? ――だけど〝勝った〟。それはなぜだ?」
「! それは……あ、あれは、ただの比喩っていうだけであって……実際には、その、練習とか、心とか、そういう問題じゃ……!」
「亮!!!」
ガシィッッ!!!
その時、だった。高利は俺の両肩を掴み、叫ぶように言い放った。
「まぐれでも、偶然でも、奇跡でも、何でもいい! お前は〝勝った〟んだ!!! 俺様たちは、果てしなく長く続いた戦いの末、一日の〝勝利〟を掴み取ったんだよ!!! 自信を持てよ、亮!!!!!」
「ッッッ!!!??」
……。
……。
……。
……俺は、何も言えなかった。
どころか、高利の真剣な眼差しに居竦み、その場を動くことすらできない。そのことから、
「……っ」
やがて、俺の目は高利の目から逃げるように泳ぎ、高利のことを見れなくなってしまったのだ。それに俺は思わず顔まで背けてしまう。
「……そうか」
悪かったな、亮。




