表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/223

14-2




 ……ばっ、

 「バカバカしい!」

 俺はそう言い放ち、すぐに続けた。

 「あんなのは〝まぐれ〟だ。〝偶然〟だ。たまたま条件が重なって起こった〝奇跡(きせき)〟だ! お前の言うとおり、勝ちは勝ちかもしれんが、決して、狙って起こせるものじゃあない!」

 「だったら、改めて俺様も聞こう」

 ギシッ……ベッドから立ち上がった高利は、そのまま、俺の方に向かって歩み寄りながら話した。

 「お前はさっき言ったな? 『素っ裸の村人A、Bクラスの最弱戦力が合わさったところで、天変地異クラスの最強戦力を持つ元・お嬢さまたちには〝勝てない〟』と――『手で扇いで台風を吹き飛ばせるか?』無理だな? 『雷よりも速く動けるか?』不可能だな? 『燃え盛るマグマよりも熱くなれるか?』絶対に、なれないな? ――だけど〝勝った〟。それはなぜだ?」

 「! それは……あ、あれは、ただの比喩(ひゆ)っていうだけであって……実際には、その、練習とか、心とか、そういう問題じゃ……!」

 「亮!!!」

 ガシィッッ!!!

 その時、だった。高利は俺の両肩を掴み、叫ぶように言い放った。


 「まぐれでも、偶然でも、奇跡でも、何でもいい! お前は〝勝った〟んだ!!! 俺様たちは、果てしなく長く続いた戦いの末、一日の〝勝利〟を掴み取ったんだよ!!! 自信を持てよ、亮!!!!!」


 「ッッッ!!!??」

 ……。

 ……。

 ……。

 ……俺は、何も言えなかった。

 どころか、高利の真剣な眼差しに居竦(いすく)み、その場を動くことすらできない。そのことから、

 「……っ」

 やがて、俺の目は高利の目から逃げるように泳ぎ、高利のことを見れなくなってしまったのだ。それに俺は思わず顔まで背けてしまう。

 「……そうか」


 悪かったな、亮。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ