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13-15




 「え? いや、俺はべつに……もうちょっと座ってろよ?」

 「なりません!」

 そう強く言い放った愛は、マッサージ器に手を突きながら話す。

 「今は亮さまのお疲れを癒していただくことが先決です! さ、亮さま、どうぞこちらにお座りくだ――」

 ウイイイン!


 その時、だった。ある意味〝奇跡〟としか言いようのないできごとが、俺たちを襲った。


 ギチッ、ズルン!

 「えっ……?」

 ソレ(、、)、が起こるまでに至った時間は、本当にほんの一瞬……たぶん、一秒もかかってはいないだろう。

 だが、その、ほんの一秒足らずの時間で起こったできごとは多く、

 まずはマッサージ器から伸びる機械の腕が、愛の肩の位置にまで動き、

 次に、それに気づかずに愛はそのまま立ち上がろうとして服が引っかかり、

 おそらく機械の腕は、肩のマッサージをしようとしたのだろう。下方向に動き、

 結果、立ち上がろうとする愛。服を引っかけたまま下がる腕。それらが合わさって、


 幼い顔立ちとは正反対の、愛の、大きな胸が――


 「き……っ!」


 「きゃああああああああああっっっ!!!!!」


 「ま、愛!? だいじょう――ごはあああっっっ!!!!!???」

 突如(とつじょ)、俺の顔面を襲ったその衝撃は、ただでさえ疲労(ひろう)困憊(こんぱい)(おちい)っていた俺の身体に、信じられないくらいのダメージを与えていた。

 焼けるように、火を吹くくらい熱くなる顔。

 鼻の粘膜を突き破り、止めどなくあふれ出る鮮血。

 身体はその反動に耐え切れず、大きく仰け反り、

 脚は、ガクガクガク!!! と、今にも崩れ落ちそうなほど激しく痙攣(けいれん)を起こした。

 だが、しかし。それほどのダメージを負ってなお、俺は、倒れなかった。いや、倒れられなかった!

 なぜなら……ッッッ!!!


 『何、今の悲鳴!?』

 『愛の悲鳴!? 亮さまの声も聞こえましたよ!?』


 あれだけの大きな悲鳴……当然その悲鳴は、隣の部屋、という超・近場にいた結たちに聞こえないわけがない。直後、隣の部屋からは、二人の驚きの声が上がった!

 しかも!

 「う、うそ!!? 動けな……っ!!?」

 愛の両腕は、機械の腕に絡まった服によって締めあげられ、全く動かすことができなかったのだ! さらに、マッサージ器という深く座り込む椅子の構造上、腕を固定されては立ち上がることもできず、完全に自由を奪われてしまっている!




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