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 と、俺はそんな愛に提案してみた。

 「もうすでに壊れている状態の今なら、壊すかも~っていう心配もないわけだし、お前も気兼ねなく座れるんじゃないか? ……まぁ、と言っても、動かないんだからあんまり意味はないかもしれないけどさ? こう、身体を機械の所に押し付けてみれば、何となくだけど雰囲気くらいは味わえるかもしれないぞ?」

 「なるほど……確かに、そうかもしれませんね」

 では、お言葉に甘えて……そう呟いた愛は、なぜだか照れたかのように頬をほんの少し赤く染めつつも、静かにマッサージ器に腰を下ろし、俺が言ったとおり、身体を押し付け始めた。

 ……さて、感想は?

 「……ん? ……んん……えっ!?」

 「? どした?」

 突然、ビクン! と身体を起こし、驚いた表情をする愛に俺は聞いてみると、次の瞬間だった。愛の口からは、予想外の言葉が放たれた。

 「り、亮さま! これ、〝動いて〟ます……!」

 「何?」

 本当か? 聞くと、愛は即答した。

 「は、はい! このように背もたれに背中を預けると、はっきりと動いているのが……あっ! 今度はお尻の所が動き始めました! これってもしかして……!」

 「ん~? よいしょっと……なるほどな。もしかしてこれって、座ってないと作動しないようにできてるのか?」

 立ち上がり、愛の方に近づいてみると、確かに機械の動く音がする……愛はそんな音の中、おそらくは、と一言置いてから続けた。

 「この間明が試乗した時は、試乗という言葉どおり座った状態で操作していましたので……まさかこのような仕掛けになっているだなんて、思いもよりませんでした……すみません」

 「って、いやいや、そんなことで謝んなくてもいいよ。マッサージ器のことなんて誰も詳しくなんてないんだしさ? ……それより、結果的に試せて良かったじゃないか。どうだ、そのマッサージ器? 気持ちいいか?」

 「え? あ、はい! 何と言うか、その……人にマッサージをしていただいたことがないので比べることはできませんが……機械でも、とても心地の良い刺激が……」

 あっ! と、その時だった。急に慌て出した愛は、そのまま叫ぶように話した。

 「す、すみません亮さま! 私、いつまでも座ってなんか……すぐ、代わりますね!」




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