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13-13


 思わず声を上げてしまった。それを見た明は嬉しそうに話す。

 「そのとおりですよ、亮さま☆ これはつい先日、私がこの部屋の掃除をしていた時に新たに発見したアイテムなんですよ~♪」

 「あ、新たに発見って……この部屋にはまだ、現入居者の明たちすら知らないような物が隠されているのか……」

 すげーな、井上さん。どんだけ部屋を改造してんだよ? そう、俺が心の中でツッコんでいると、明は仕掛けが止まったことを確認してから、さっそくマッサージ器に手を伸ばした。

 「まぁ、細かい話は置いておいて、さっそく使ってみませんか? この間私が試してみた時には、すっごく気持ち良かったですよ? スイッチを入れると、こんなふうに中の機械が動き出して…………って、あれ???」

 と、突然明が首を傾げ始めた。見れば、手を置く場所に設置されているコントローラーを何やら一生懸命、カチカチ、と押しまくっている。……どうしたというのだろうか?

 すると、「あちゃー」と次の瞬間だった。明が声を上げた。

 「これは……ダメですかね? 何度スイッチを押しても動きません……」

 「え? 壊れちゃったの?」

 結が駆け寄り、同じようにスイッチを押してみたが……結果は同じだった。

 「ホントだ。全然動かないね? コンセント……も、ちゃんと刺さってるみたいだし……」

 「はい。……まぁ、なに分かなりの年代物ですからね。もしかしたら、そもそもこの間試した時に動いたのが奇跡だったのかもしれません……あ、すみません、亮さま。これだけハデに登場させておいてアレなんですけど、今回は枕と掛け布団を用意しますので、そちらで我慢していただけますか?」

 「ん? あ、ああ。俺はべつに何でも構わないが? と言うより、枕と布団を用意してくれるだけでもありがたいよ」

 すぐに答えると、そうですか? と明は、ポリポリ、頬をかき、申しわけなさそうに話した。

 「では、すぐ持ってきますね。……結さまと、それに愛もいりますよね? えっと、予備の枕と布団は、確か私の部屋の……」

 「あ、私もいっしょに持つよ!」

 「え? そ、それなら私も……あ」

 と、愛は何かをしゃべりかけ、立ち上がろうとしたが……時すでに遅し。明と結はそれに気づかずに、パタパタ、と部屋の右側の壁……明の部屋へと通じる隠し扉を開けて、部屋の中に消えて行ってしまった。

 「……行っちゃったな?」俺が呟くように聞くと、

 「……はい」と少し、残念そうな顔をする愛。

 しかし、立ち上がりかけてまた座り直す、というのも、何だか気が引けたらしい。愛はそのまま立ち上がり、マッサージ器の方へと歩いて行った。

 「それにしてもこのマッサージ器……本当に壊れてしまったのでしょうか? この間、明が座ってみた時にはあんなにも力強く動いていたのに……少なくとも、ぜんぜん、壊れてしまいそうには見えなかったのですが……」

 「そうなのか? てゆーか、話を聞いてる限りだと、明だけ試した……ってことでいいんだよな? 愛、お前は試してみなかったのか?」

 「あ、はい……あの時は掃除も簡単に、あくまでも試乗、ということで明が座ってみただけですので……私は、それこそ壊してしまわないようにと、座ることは(ひか)えていました」

 座るために作られた物が、座っただけで壊れてしまうような作りにはなっていないとは思うんだが……まぁ、なるほど。愛らしいっちゃ愛らしい考え方だな。

 「……あ、だったらさ?」




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