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はふぅ。そんな様子を見て、明はため息を一つ。パンパン、と手を叩き、言い放つ。
「はい! これ以上は本当に体に毒ですので、これにて今日のゲーム時間は終了です! 各自ゲームをテーブルの上に置いてください~!」
……確かに。これ以上やったら、本当に色々大変な目に会いそうだ。
そう思った俺は、素直にその言葉に従ってゲームをテーブルの上に置くと、それに続いて結と愛も、しぶしぶ、ゲームを置く。俺はそれを確認してから話した。
「いやはや、まさかゲームに集中しすぎてこんなにまでなっちまうとはな……しかし、明? お前も俺たちと一緒にずっとゲームをやっていたはずなのに、見たところ元気なままだな? いったいどういうカラクリなんだ? あ、べつに部屋のカラクリと掛けたわけじゃないからな?」
「え? ああ、いえ、カラクリも何も、私は元々寝不足になんてなっていませんし……」
それに、と明は、腕を伸ばして組んでみたり、座ったまま身体を倒して前屈をやって見せたりしながら話した。
「このように、合間合間にストレッチを行っていましたので、ある程度疲れは軽減されています。ゲームに夢中になりすぎてメイドとしての仕事ができなくなってしまっては、お二人にご迷惑がかかりますし」
「うっ!」
変な声を上げたのは、そのメイドの長。白乃宮メイド隊・第一席である愛だった。
愛はそれから、「面目次第もありません……」と小さく呟き、それに合わせるように、シュン、と身体を小さくした。……どうやら愛は、ゲームをするとテンションと行動力はハネ上がるらしいが、逆にメイドとしての奉仕力は急激に下がってしまうらしい。
……まぁ? 完全無欠のメイドより、俺的には多少抜けてる方が……いや、何でもない。俺もやはり疲れているようだな。今のは聞かなかったことにしてくれ。
なるほどな。そう呟いてから俺は話す。
「今度ゲームをやる時は、俺も明のマネをしてストレッチでもしながらやるとするか。もちろん、一日のゲーム時間は守った上で、だけど。……っと、そんじゃあ、この辺でお開きとするか。結、そろそろ帰る――うおっとと!?」
ぞ。までが言えなかった。というのも、寝不足の上に疲労もMAX。俺の身体は、立ち上がろうと足を踏み込んだのとほぼ同時に、大きく横によろめいてしまったのだ。
その時に身体を手で支えていたおかげでなんとか転ぶことは免れたが……正直、これにはかなり驚いた。頭ではわりと平気なつもりでいても、身体はこのとおり。想像を遥かに超えてダメージを負ってしまっていたのだ。『こんなになるまでやってただなんて、どんだけゲームやってたんだよ!?』と今さらだが、おふざけ抜きに今になってやっと後悔と恐怖の念が湧いてきた。




