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13-9




 と、愛が指差したのは、俺の右隣りで、愛の左隣の床……何もない畳だった。

 いったいどこにゲームが? そう思っていると、愛はその畳に手を当て、そのまま横にスライドさせ――


 カララララ。「うおうっ!」


 予想外のできごとに俺は思わず声を上げてしまった。

 なんと、愛が手を横にスライドさせると、畳の一部までもが手といっしょにスライドして、中から二台のP○Pが出てきたではないか! しかもそこにはコンセントまで取り付けてあり、そのまま充電もできる仕様となっている!

 床下ならぬ、まさに畳下収納!

 ……って、ああ、そうか。そういえばそうだったな。と俺は今頃になって思い出した。

 この家……御守家であるアパートは、前入居者であり大家さんの息子の、井上 吉郎さんが改造した、所謂(いわゆる)〝カラクリ部屋〟だったのだ。

 一見何もないように見える床や壁にも、こうやって隠し収納があったり、隠し家具があったり、まるで忍者の秘密基地……なんて言ったら、ちょっと言葉が変だろうか? とにかく、様々なモノが隠されているのだ。

 愛は、そんな隠されていた畳下収納の中からゲームを取り出すと、電源を入れて実際にゲームを操作して見せた。すると、わぁ! とすぐに結が喚声(かんせい)を、否、歓声(かんせい)を上げた。

 「すごい! よく左手だけで操作できるね! あ、〝ぶつけてる〟んだ~!」

 ……さて、ではこの辺約束どおり、片手しか使えないはずの愛がどうやってゲームを操作しているのか? それを説明させていただくとしよう。

 と、言ってもだ。確かにある程度のテクニックは必要だし、慣れるまでは大変ではあるが、べつに何も難しいことはしちゃいない。結が〝ぶつけてる〟と言っているとおり、俺が愛に提案した操作方法とは、〝右腕の義手にボタンをぶつける〟ことだったのだ。

 どういうことなのか? 補足すると、用はボタンを押せればいいわけである。愛の義手は、愛自身が自分のサイズに合わせてマネキンの腕を加工して作った物であるらしく、材質としてはすごく硬く、手(指)の形も、ちょうど力を抜いた時のような、そんな自然な手の形一パターンのみで、全く指などは動かすことはできない。そこで俺が考えたのは、普通に動かせる左手だけを上下させたり前後左右に動かすことによって、硬い義手の指にボタンを〝ぶつけて押す〟という作戦だ。これならば左手で十字キーなどを操作していても動かせるだろうし、慣れれば愛も問題なく楽しめるだろう。ということである。

 その作戦の結果は、聞いてのとおり。俺も見てみたが、どうやら問題なく操作はできているようだ。どころか、唯一の懸念(けねん)でもあった複数のボタン同時押しすらも、愛は指だけでなく手の平なども器用に使ってこなしていた。

 「完璧じゃんか!」

 言うと、すぐに愛は答えた。

 「あ、ありがとうございます。これも全ては亮さまのご提案のおかげです。改めてお礼を申し上げます」

 「ああ、いいよいいよ。そういう固っ苦しいのは。何か照れくさいし……とにかく、これでみんなで一緒にゲームができるわけだな?」

 よし、と(うなず)いた俺は、畳下収納からもう一台ゲームを取り出し、それを持ち主の明に渡しながら話した。

 「それじゃ、さっそく四人で通信プレイをやろうぜ。俺の大剣の一撃を見せてやる!」

 「おお~、これは頼もしいですね~☆ なら、私は双剣のスピードで相手を翻弄(ほんろう)しますか!」

 「じゃあ、私は銃で援護するね~♪ 愛は刀だっけ?」

 「は、はい! お役に立てるよう、がんばります……!」

 こうして、俺たちは無事(?)に狩り人ライフに突入するのであった。







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