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 さて、改めて……。

 ――御守家のリビング。

 食器も片づけ終わり、バタバタとした空気も一段落したところで、俺はとりあえず、エンドレス混ぜ混ぜから解放されて、しかし自分からやり始めた土下座からは一向に解放される様子のない愛に向かって話した。

 「愛、もういいって。いい加減頭を上げてくれよ。俺は最初からべつに何とも思ってないんだからさ?」

 ……それに対する愛の答えは?

 「申しわけありません。大変……大変、お見苦しいところを…………うぅ」

 「い、いや、だから……」

 聞いてない……か。

 ……はぁ。

 これは、もはや俺の手には負えんな。

 そう悟った俺は、だけどこのままにするわけにもいかないしな……とも考え、「なぁ、結?」と隣にいた結に援護(えんご)要請(ようせい)することにした。

 「これ、どうにかならないか? 例えば……ほら、まだ完璧なご主人さまってわけじゃないのは分かるが、この際だ。ご主人さまってことで命令してさ、やめさせるとか? このままじゃ(らち)()かねぇよ」

 「え? そ、そう言われても……」

 えーと……。

 悩むこと数秒。はぁ、とため息をついた結は、ピッ、と愛を指差しながら、仕方なさそうに困った顔のまま言い放った。

 「……愛、これは命令です。顔を上げなさい」

 「……はい……」

 ぐぐぐ……。

 ……どうやら、作戦(?)成功のようだ。ご主人さま(結)に命令された愛は、まだ若干の抵抗はあったようだが、ようやくその上げることのできなかった重い首を上げた。――ところで見れば、その額には(たたみ)(あと)がくっきりと残り、目にはうっすらと涙まで浮かんでしまっている。……よほど思い詰めていたらしい。

 あー、えっと、と俺は、そんな様子に若干戸惑(とまど)いを覚えつつも、それ以上愛を刺激(しげき)しないよう、できるだけ優しく話した。

 「いいか、愛? お前は俺たちに対して見苦しい態度を取ってしまった、と思って思い詰めているようだが、俺たちはそんなこと、全然気にしてないからな? てゆーか、俺たちも寝不足で何だか頭がボヤけてる感じがするわけだし、何を隠そう結だって、今朝はトーストに無限にコーヒーを塗りたくってたんだぞ?」

 「ちょっ!?」

 ちょっと、亮~! 顔を赤く染めた結は慌てて話す。

 「そんなこと愛たちに教えないでよ~! ただでさえ恥ずかしかったんだから~!」

 「ほほぅ? トーストにコーヒーを?」

 キュピーン☆ 言わずもがな、それにいち早く、素早く反応を示したのは明だ。

 ぬふふ~☆ と明は笑みを浮かべながら話す。

 「ペットは飼い主に似る、と言いますが、どうやらメイドも同じのようですね~♪ まさか主従揃って同じような行動を取っていたとは……二人とも、なかなかになかなか、かわいいじゃあないですか~☆」

 「ちょっ! も~! 明までそんなこと~!」

 「はは、まぁ、いいじゃないか」

 そう軽く笑い、二人のやり取りを切った俺は、しかしそんなやり取りの中の話を踏まえた上で、な? と愛に向かって話した。

 「主人である結もお前と同じようなことをやってるんだ。だから、いちいちそんなに落ち込まなくったっていいんだよ。……それとも、お前はお前と同じようなことをやっていた結のことも、見苦しい行動を取っていた、とでも言うつもりか?」

 「! そ、そのようなことは、決して……!」

 「――おっと、そんなことより」

 質問に対する愛の反応を予想していた俺は、あえてすぐに話題を変えた。

 「寝不足になるまでやってた、ってことは、俺の提案どおりに、ゲームの方はちゃんと操作できるようになったってことか?」

 「え? ……あ、は、はい! その……まだ少し不慣れなところはありますが、亮さまのおかげで一人でも問題なく討伐(とうばつ)ができるくらいには……」

 「本当か?」

 チャンス! そう思った俺は、すかさず持ってきたゲームを片手に話した。

 「だったら、さっそくやって見せてくれよ。元々俺たちは今日、お前たちとゲームをやるためにきたんだからさ? ……で、ゲームはどこだ? お前の部屋か?」

 「い、いえ。ゲームでしたら、ここ(、、)に……」

 「え? ここ?」




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